病気やケガによって以前のように身体を自由に動かせない方や不自由なく働くことができないという方は大勢いらっしゃいます。
そのような人にこそ検討してほしいのが国の年金制度の1つである障害年金です。
当記事では障害年金制度の概要を解説します。
障害年金とは
「障害」と聞くと寝たきりや半身まひなどを想像されるかもしれません。
しかし、病気やケガによってイスからスムーズに立ち上がることができなくなったなどのようにちょっとした動作に制限が出たとしても立派な「障害」です。
ここでは簡単ではありますが障害年金の概要について解説します。
病気やケガによって少しでも身体に不自由がある場合は1度、障害年金の受給についてご相談ください!
3種類ある公的年金の1つ
「年金」と聞くと真っ先に思い浮かぶのは65歳以上から受給できる年金でしょう。
しかし年金には大きく分けて次の3つがあります。
- 老齢年金
- 遺族年金
- 障害年金
この3つは国の年金制度である公的年金です。
冒頭で触れた一般的な人が知っているまたは思い浮かべる年金は65歳以上から受給できる「老齢年金」です。
次に家族が亡くなった場合に備える年金として「遺族年金」、そして障害状態になってしまい生活に支障がある場合に受給できる「障害年金」の3つになります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害基礎年金と厚生年金の違いは大きく分けて次の3つがあります。
- 初診日での厚生年金の加入有無
- 等級の幅広さ
- 受給額の高さ
それぞれの特徴について見ていきましょう。
初診日での厚生年金の加入有無
1つ目が会社員や公務員として厚生年金に加入しているかどうかです。
初診日の段階で国民年金保険に加入している人は障害基礎年金、反対に厚生年金保険に加入している人は障害厚生年金の受給対象者となります。
詳しい受給要件については下記ページで解説していますのでそちらをご覧ください!
等級の幅広さ
まずは下の一覧をご覧ください。
障害等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
---|---|---|
1級 | 〇 | 〇 |
2級 | 〇 | 〇 |
3級 | × | 〇 |
障害手当金(一時金) | × | 〇 |
障害基礎年金の場合は障害等級が1~2級しかありません。
しかし障害厚生年金の場合は1~2級だけでなく3級と一時金として障害手当金があります。
受給額の高さ
下の図をご覧ください。
1級 | 2級 | 3級 | 障害手当金(一時金) | ||
---|---|---|---|---|---|
障害厚生年金 | |||||
上乗せ年金 | 報酬比例の年金額×1.25 | 報酬比例の年金額 | 報酬比例の年金額 | 報酬比例の年金額×2 | |
配偶者加入年金 | 配偶者加入年金 | ||||
障害基礎年金 | 976,125円 | 780,900円 | × | × | |
子の加算 | 子の加算 |
障害厚生年金の場合は1・2級でそれぞれ障害基礎年金に厚生年金が上乗せされた額を受給できます。
別記事にて詳しい解説をしていますので受給額を詳しく知りたい方はそちらの記事をご覧ください。
障害年金の受給額について/2021年度(令和3年度)版
障害年金の受給額について見ていきましょう。障害年金の受給額は次の特徴があります。 障害年金の受給額ポイント 受給額は毎年度(2021年度(令和3年度)の場合は2021年4月~2022年3月)変化 障害 ...
障害年金の等級について
障害等級 障害の程度 1級 身体の機能の障害もしくは長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることが不能な程度のものとする。 2級 身体の機能の障害もしくは長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。 3級 労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
等級ごとの詳細な認定基準については「障害年金の受給要件とは」をご覧ください。
20歳前の障害基礎年金
20歳前の障害基礎年金とは初診日が20歳に到達していない場合に受け取れる障害基礎年金です。
一般的な障害基礎年金との違いは大きく分けて2つあります。1つ目が所得制限です。
一般的な障害基礎年金とは違い、20歳前の障害基礎年金は所得制限が設けられており所得に応じて「全額支給」「半額支給」「支給停止」の3つに分けられます。
2つ目は保険料納付が不要です。20歳前は年金加入義務がないため保険料納付の有無は問われません。
詳しい受給要件や所得制限額は「障害年金の受給要件」にて詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。
障害年金の特徴
障害年金をもっと知ってもらい有効に活用してもらうためにはその特徴をしっかりと理解しておかなければなりません。
- 障害年金はもらい忘れが多い年金
- 障害年金は若い世代でも受給できる年金
- 仕事をしていても受給できる可能性がある
- 障害年金の認定は永久認定と有期認定の2種類がある
まだまだ多くの特徴がありますがその中でも代表的な特徴を上記4つ紹介します。
障害年金はもらい忘れが多い年金
障害年金はもらい忘れが多い年金といわれています。
65歳以上になると自動的に受給できる「老齢年金」と違い、「障害年金」は申請しなければ受給できません。
また障害の状態となっても案内は通知されませんのでそもそも制度自体を知らないという方も多いです。
前述のとおり障害の状態になって生活や仕事に少しでも支障がある場合は障害年金の受給対象ですのでまずは制度を知って申請を検討することからはじめましょう。
障害年金は若い世代でも受給できる年金
前述のとおり高齢者しかもらえないイメージが強い年金ですが、受給要件を満たせば障害年金は若い世代でも受給できる年金です。
むしろこれから長い人生を生きていく若者が受給するべき年金といえるでしょう。
仕事をしていても受給できる可能性がある
障害厚生年金3級であれば仕事をしていも受給できる可能性があります。
障害等級が2級でも働けますが「生活に大きな制限がある」と判断されず等級が2から3級へ変更される可能性があります。
障害基礎年金の場合ですと障害等級・3級がないため支給停止もあり得るので注意してください。
認定には永久認定と有期認定の2種類がある
申請を出して審査が無事通り受給認定されたとしましょう。
しかし受給認定にあたっては永久認定と有期認定の2種類の認定パターンがあります。
状態の定期確認 | 障害の状態 | |
---|---|---|
永久認定 | なし | 一生涯寝たきりなど症状の回復見込みがないような場合 |
有期認定 | あり(1~5年ごと) | うつ病などのように障害年金の受給認定後に症状の回復が見込まれる場合 |
永久認定の場合は一度受給決定がすればその後の診断書提出はありません。
しかし有期認定の場合は症状確認のために診断書を提出して1~5年ごとに更新を行う必要があります。
障害状態確認届と呼ばれる用紙が送付されてくるため、医師か歯科医師に診断書を作成していもらい受給者の誕生月末までには提出しましょう。