日常生活能力の判定とは?
「日常生活能力の判定」とは、「診断書(精神の障害用)」の記載項目の1つです。
日常生活を7項目に分けて精神障害による制限度合いを以下の4段階で評価します。
- できる(1点)
- 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする(2点)
- 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる(3点)
- 助言や指導をしてもできない若しくは行わない(4点)
障害の状態が重くなるほど、点数が高くなり、7項目の平均点が「判定平均」となります。
「日常生活能力の判定」の判定平均と、「日常生活能力の程度」の程度をもとに示されるのが等級ガイドラインの「障害等級の目安」です。
障害等級の目安については以下の記事をご確認ください。
低い評価にならないためにも、「苦手なこと」「できないこと」を洗い出し、日常生活の状態をできるだけ詳細に伝えるようにしましょう。
日常生活能力判定の7項目
日常生活能力判定の7項目は次のとおりです。
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.適切な食事
「適切な食事」では、1人で栄養バランスの取れたメニューを考えて、適切なタイミングで適切な量の食事を自分で準備し、食べられるかどうかで判定します。
家族が食事を用意して声をかけたら食べる、買い溜めして冷凍食品や菓子パンばかりを食べるという場合は、適切な食事ができているとはいえません。
判定基準は次のとおりです。
2.身辺の清潔保持
「身辺の清潔保持」では、1人で掃除や入浴、着替えを行えているかを判断する項目です。ただし、単純にこれらの行為ができているのかを判断するわけではありません。
例えば、入浴であれば適切な頻度でお風呂の準備をして、シャンプーやボディソープを使用して頭や身体を洗い、濡れた身体をタオルで拭き、着替えを行うといった一連のプロセスを自主的に行えるかで判定します。
掃除や着替えも、上記と同様に一連のプロセスを自主的に行えるかどうかで判定します。
したがって、家族に言われて入浴する、誰かと促されて一緒に掃除をする、服がなければ服を着替えないという場合、身辺の清潔保持は行えていません。
判定基準は次のとおりです。
3.金銭管理と買い物
「金銭管理と買い物」では、1人で収支バランスを考えながら、金銭を管理し、生活に必要な食品や日用品の購入計画を立てて、必要な数だけ購入できるかを判定します。
収支バランスを考えずに繰り返し高額な買い物を行う、頼まれたものを買ってくるだけという場合、金銭管理と買い物が行えていません。
判定基準は次のとおりです。
4.通院と服薬
「通勤と服薬」では、1人で生活した場合、定期的な通院・服薬ができるかどうかを判定します。
通院はできているものの、病状を医師に話したり、医師の説明を理解したりできないため、付き添いが必須、薬が準備されないと服薬しないという場合、通院と服薬が行えているとはいえません。
判定基準は次のとおりです。
したがって、自発的に通院できているか、医師に説明し、医師の説明を理解しているか、自主的に薬を準備し、適量を服薬できているかを考えてみてください。
5.他人との意思伝達及び対人関係
「他人との意思伝達及び対人関係」では、家族以外の第三者とのコミュニケーションを行えているかを判定します。
対面での会話ができない、相手の意図を汲み取れずトラブルが多い、3語分程しか話せないという場合、適切な意思伝達を行えたり、対人関係を構築できたりしているとはいえません。
判定基準は次のとおりです。
6.身辺の安全保持及び危機対応
「身辺の安全保持及び危機対応」では、ガスコンロや包丁といった道具や、自動車や電車といった乗り物の危険性を理解したうえで、適切に使用・危機を避けられるかを判定します。
また、地震・火事といった災害に遭った際、周囲の指示に従って避難したり、周囲に助けを求めたりできるかも判定の対象です。
判定基準は次のとおりです。
7.社会性
「社会性」では、社会生活を送るうえでの困難の程度を判断します。
例えば、改札を通って電車に乗り込み、目的地に向かう沿線に乗り換えられる、銀行ATMで入出金を行う、役所で必要な手続きを踏み書類を請求するといった行為を1人で行えるかなどです。
予定どおりに電車がこないとパニックになる、役所などでの手続きについて窓口に質問できないといった場合、安定した社会性が遅れているとはいえません。
判定基準は次のとおりです。
日常生活能力の程度との関係性
「日常生活能力の程度」とは、疾患による日常生活の制限度合いを5段階で評価したものです。日常生活能力判定と同じく「診断書(精神の障害用)」の1項目となります。
「精神障害」と「知的障害」の2種類があり、疾患に応じてどちらか一方を用いて判定を行います。日常生活能力判定と日常生活能力の程度は相互関係であり、記載する際は両者の整合性を意識して記載しなければなりません。
日常生活能力の程度を詳しく知りたいという方は以下の記事を確認してみてください。
まとめ
「日常生活能力の判定」は、障害等級の目安を決める重要な項目の1つです。障害等級の目安が障害年金の受給有無や等級判定の決定打になるというわけではありません。
しかし、判定材料としては少なからず影響を与えるものです。日常生活能力の判定は医師が行うため、自身の裁量ではどうすることもできません。
低い評価にならないためには、何ができないのかを、医師に細かく伝えることが大切です。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
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