透析患者は原則「障害年金2級」
世界の糖尿病者数は5億2,900万人(2021年時点)、日本の糖尿病者数は糖尿病有病者と糖尿病予備群あわせて2,000万人にも上ります(2016年時点)。
また、透析患者数も微増減を繰り返しながらも増加傾向にあり、日本透析医学会が2022年末に公表した「2022年日本透析医学会統計調査報告書」によると、2022年の日本の透析患者数は約34万人、新たに透析治療を導入した患者は約3万9,000人でした。
米国腎臓データシステムによると、日本の透析患者の人口100万人あたりの有病率は世界ワーストレベルであり、台湾・韓国に次ぐ世界3位となっています。(2021年は世界2位)
透析患者数が非常に多い日本ですが、身体障害者手帳1級を持っている一方、障害年金を受給されていない患者が非常に多いです。
障害年金の受給要件を満たしている透析患者は原則、障害年金2級が認定されています。
透析患者が障害年金を請求する際に押さえておくべきこと
透析患者が障害年金を請求する際に押さえておくべきことは次の3つです。
- 初診日の特定
- 障害認定日の特例について理解しておく
- 事後重症請求についても理解しておく
それぞれ詳しく解説します。
初診日の特定
障害年金を請求するためには、初診日の特定が欠かせません。
しかし、糖尿病は時間をかけてゆっくりと進行し、最終的に慢性腎不全に移行して透析治療を開始することになります。
初診日から透析治療を開始するまで、約10~20年かかることも少なくなく、期間が空きすぎた結果、初診日がわからなくなるケースが非常に多いです。
スムーズに障害年金を受給するためにも、最初に受診した医療機関名および受診日は必ず記憶しておくことが大切です。
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障害認定日の特例について理解しておく
障害認定日とは、障害の状態を確定させる日のことです。
障害認定日は通常、初診日から1年6ヶ月経過した日、1年6カ月以内に病気・ケガが完治した場合(症状が固定した場合)は、その日となります。
なお、人工透析には特例が設けられており、初診日から1年6ヶ月以内に透析治療を開始した場合は、治療開始日から3ヶ月経過した日が障害認定日となります。
事後重症請求についても理解しておく
事後重症請求とは、障害認定日時点では障害等級に該当しなかったものの、それ以降に症状が悪化して障害等級に該当した場合に障害年金を請求することです。
糖尿病の発症から透析治療を開始するまでには長い時間がかかるため、初診日から1年6ヶ月(障害認定日)以内に透析治療が開始されるのはまれです。
そのため、透析治療患者の方法は事後重症請求となります。
なお、事後重症請求できるのは、65歳の誕生日の前々日となりますが、老齢年金を繰り上げ受給した方は事後重症請求ができません。
これは老齢年金を繰り上げた段階で65歳に達したとみなされるからです。
また、事後重症請求は請求月の翌月分からの支払いとなるため、請求時期が遅れると遅れた月分の年金を請求できません。
人工透析で障害年金を受給するなら専門家の申請代行がおすすめ!
「申請する負担を軽減させたい」「自分の状態にあったベストな内容で受給申請したい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
相談時にしっかりとヒアリングをするため、相談者様の状況に最適な内容で受給申請することが可能です。
専門家に相談すれば、申請に必要な各種書類の作成を代行してくれる他、診断書内容を添削してくれるため、素人が申請するよりも受給確率を向上させられます。
また、医師との交渉ができないという場合は、申請者本人に代わって、医師に診断書作成を依頼してくれます。
障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
障害年金の申請を自力で行うことは可能?自力で可能な場合と社労士に依頼した方がよい場合も解説!
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
「透析患者の障害年金」でよくある質問
「透析患者の障害年金」でよくある質問は次の4つです。
- 人工透析の障害年金は一生涯受給できるの?
- 人工透析で障害年金はいくらもらえるの?
- 透析患者は働きながら障害年金を受給できますか?
- 65歳以上になったら障害年金の受給・申請はどうなるの?
それぞれ詳しく解説します。
人工透析の障害年金は一生涯受給できるの?
人工透析は「有期認定」と「永久認定」があります。
有期認定は、一定期間ごとに更新書類を提出して、障害年金の受給継続審査が行われるものです。
一方、永久認定は認定されれば、一生涯にわたって障害年金を受給できるものとなります。
合併症状がなく症状も安定している透析患者の場合、原則有期認定となり、5年ごとに更新手続きが必要です。
これは透析患者であっても症状が改善する可能性があるのが理由ですが、70歳以降で人工透析をしている場合は症状の改善はみられないと判断され、永久認定に変更されます。
人工透析で障害年金はいくらもらえるの?
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、受給する障害年金の種類によって受給額が異なります。
また、受給額は年度毎に変化するため、一律何円受給できるというわけではありません。
透析患者は働きながら障害年金を受給できますか?
透析患者は就労の有無にかかわらず、原則障害年金2級に認定されます。
また、障害年金は原則所得制限もないため、働きながらでも障害年金の受給が可能です。
65歳以上になったら障害年金の受給・申請はどうなるの?
障害年金を受給するためには、初診日は65歳より前でなければなりません。
初診日が65歳以降の場合、加齢によるものと判断されるため、老齢年金での保障となるからです。
また、65歳以降は障害認定日請求のみとなるため、事後重症請求ができません。
透析患者は原則、障害年金2級を受給できますが、受給要件を満たしておく必要があるなど、申請手順自体は他の障害年金申請者と同じです。
そのため、申請の負担を抑えたい、自分の状態にあったベストな内容で受給申請したいのであれば、専門家に申請代行してもらうことをおすすめします。
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障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
「透析患者の障害年金」まとめ
透析患者の方は原則、障害年金2級で認定されます。
しかし、身体障害者手帳1級を持っている一方で、障害年金を受給していない透析患者の方は非常に多いです。
透析治療を受けていて障害年金を受給していない方は、障害年金の受給をおすすめします。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に腎疾患や人工透析に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!
参考文献
日本透析医学会-2022年日本透析医学会統計調査報告書「わが国の慢性透析療法の現況」
厚生労働省-平成28年「国民健康・栄養調査」の結果」
糖尿病ネットワーク-世界の糖尿病人口は5億2900万人に増加 今後30年間で2倍以上の13億人に 糖尿病は世界的な課題
日本年金機構-さ行 障害認定日