障害年金の申請手順
障害年金の申請を自力で行うか、社会保険労務士に依頼するかという話をする前に、障害年金の申請手順について簡単にみていきましょう。
- 初診日の確定
- 最寄りの年金事務所で保険料納付要件確認
- 初診日に通院していた病院に受診状況等証明書作成を依頼
- 障害認定日に通院していた病院に診断書作成を依頼
- 現在通院している病院へ診断書の作成を依頼
- 住民票など必要な添付資料を準備
- 年金事務所に書類を提出し裁定請求
- 審査
- 最短3~4ヶ月で日本年金機構より審査結果通知
障害共済年金の場合は手順が異なりますし、障害認定日と現在通院している病院が同じであれば、4・5のステップを分ける必要はありません。
障害年金申請を自力で行うことは可能なのか?
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。
委任状があれば、家族が代理で申請することもできます。
スムーズに準備が行えば、年金事務所に3~5回程度、病院に3回程度足を運ぶだけで、障害年金の申請ができるでしょう。
障害年金を自力で申請するのが難しい理由
障害年金を自力で申請するのが難しい理由として次の5つが挙げられます。
- 初診日の証明
- 病歴・就労状況等申立書の作成
- 診断書の内容チェック
- 専門性が高すぎる
- 年金事務所の職員が障害年金申請に不慣れ
それぞれ詳しくみていきましょう。
初診日の証明
障害年金を申請するうえで欠かせないのが「初診日の証明」です。
ただし、「初診日が5年前でカルテが破棄されている」「初診日を本人が覚えていない」などの状況に陥ってしまうと、申請ができません。
自力で申請する場合、この初診日の証明ができず、障害年金申請を断念する方も多いです。
また、年金事務所にいった場合、年金事務所の職員から「初診日はいつか」などの質問がされますが、質問への回答内容は年金事務所のデータベースに登録されてしまいます。
初診日を覚えていない状態で曖昧に答えてしまうと、間違って回答した内容を「正」とされてしまい、結果として申請できなくなるリスクがあります。
病歴・就労状況等申立書の作成
発病から現在までの経過を記す「病歴・就労状況等申立書」という書類も作成しなければなりません。
この書類では主に以下のことを記載していきます。
- 発病から現在までの経過
- 日常生活・就労状況
- 通院期間・受診回数・入院期間など
書類作成にあたっては、記載した方がよい情報、記載すると不利になる情報などが多いため、これらのポイントを押さえておかないと、不適切な内容となってしまいます。
不適切な内容になってしまうと、障害年金が不支給になるリスクが高くなってしまいます。
診断書の内容チェック
診断書は医師に作成してもらう申請書類です。
医師が作成したのだから問題ないと思いがちですが、障害年金の診断書は記載項目が多く、不備が多いというのが実態です。
どのような内容が良いかという説明は、ここでは割愛しますが、診断書の内容をチェックせずに提出してしまうと、審査が不利になるリスクは当然高まります。
したがって、不備はないだろうと過信せず、診断書の内容をチェックすることが大切ですが、素人が診断書の内容に不備がないかチェックするのは大変です。
これも自力で申請するのが難しい理由の1つとなります。
専門性が高すぎる
障害年金の申請は非常に専門性が高いです。自力で障害年金を申請する場合、専門性の高い申請を、仕事や通院しながら行わなければなりません。
また、本人に代わって家族が障害年金申請を行う場合、仕事や本人の介護をしながら行う必要もあります。
このように苦労して申請しても、障害年金は老齢年金や遺族年金と違い、申請したからといって確実に受給できるとは限りません。
予定していた等級が低く、受給できる年金額が少ない可能性もあり、苦労と結果が見合わないといったリスクがあります。
年金事務所の職員が障害年金申請に不慣れ
また、年金事務所に相談し方法を教えてもらいながら申請できますが、障害年金に不慣れな職員が多いです。
そのため、役所の見落としで診断書訂正のために複数回病院に行った、指示された書類が違うなどして、余計な手間がかかるリスクがあります。
もちろん、障害年金の申請を理解している職員がいないというわけではありませんが、年金事務所の職員だから安心という考えは避けた方がよいでしょう。
自力で申請した方がよい場合
自力で申請した方がよいのは、以下のような場合です。
- 初診日が確定し疑いの余地がない
- 障害の状態が確定している
- 保険料納付要件を明らかに満たしている
「障害の状態が確定している」というのは、人工透析治療を受けている、失明しているというように、数値などで障害等級が確定している障害状態の場合を指します。
社会保険労務士に依頼した方がよい場合
一方、社会保険労務士に依頼した方がよいのは、以下のような場合です。
- 初診日が曖昧もしくは分からない
- 障害状態が障害認定基準で確定していない傷病で障害年金の受給を目指している
- 初診日と治療開始日の期間が空いている
- 複数の初診日の候補日において、保険料納付要件を満たしていない、加入していた年金制度が違い不利になるリスクがある
診断書や病歴・就労状況等申立書の内容がポイントとなるため、これらの書類が適切でないと、受給できる確率は極めて低くなります。
社会保険労務士に依頼するメリット
社会保険労務士に依頼するメリットは次のとおりです。
- 申請の負担を大幅に削減できる
- 専門知識を武器に申請者様の状況にあった書類を作成するため、受給確率をアップできる
- 自力で行うよりも早く申請できるため、早く障害年金を受給できる可能性がある
自分でやるのが不安であれば、状況問わず、社会保険労務士に相談することをおすすめします!
まとめ
障害年金は自力申請が可能です。
ただし、当然すべての種類を自分で準備しなければならないため、障害のある方が自力で行う、家族が本人の介護などをしながら申請する場合、それだけ時間と労力がかかってしまいます。
また、「初診日の証明」「診断書の内容チェック」「年金事務所の職員が障害年金申請に不慣れ」ということもあり、知識がないと不利になってしまうリスクが高いです。
そのため、コストはかかってしまいますが、「障害年金申請の手間を省きたい」「受給確率を高めたい」ならば、初回保険労務士に依頼した方がよいでしょう。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!