障害年金とは?
障害年金とは「老齢年金」「遺族年金」に並ぶ、公的年金の1つです。
ケガや病気によって、麻痺や後遺症が残り、仕事や日常生活に制限が生まれてしまった際、現役世代も含めて受給できます。
「障害」と聞くと、半身まひや寝たきりなどを想像される方が多いでしょう。
しかし、うつ病で日常生活が送れない、病気やケガが原因で椅子からスムーズに立ち上がれなくなったなど、ちょっとした動作に制限が生まれた場合も立派な障害です。
障害年金の受給有無は、仕事や日常生活にどれだけの影響を与えているかによって判断されるため、少しでも不自由があれば障害年金の受給対象となります。
ただし、65歳以上になったら受給できる老齢年金と違って、障害年金は申請し、審査が通らなければ受給できません。
もっと障害年金のことを知りたいという方は以下の記事をチェックです!
障害年金の2つの種類
障害年金の種類は大きく分けて次の2つです。
- 障害厚生年金
- 障害基礎年金
簡単にみていきましょう。
1.障害厚生年金
「障害厚生年金」は厚生年金に加入している方に支給されている障害年金です。
障害等級は1~3級、障害手当金(一時金)があり、「障害基礎年金」に「障害厚生年金」が上乗せされた状態で受給できます。
2.障害基礎年金
国民年金に加入している方に支給される障害年金です。障害等級は1~2級までしかなく、障害手当金もありません。
受給されるのも、障害基礎年金のみとなるため、同じ障害等級だったとしても、障害厚生年金よりも受給額は少ないです。
障害年金の概要・種類については、以下の記事で詳しく解説しています!
障害年金の種類は「初診日」で決まる
受給できる障害年金の種類は「初診日」の段階で、どの障害年金に加入しているかによって決まります。
つまり、初診日の段階で国民年金に加入していれば「障害基礎年金」、厚生年金に加入していれば「障害厚生年金」になるということです。
ここで注意しなければならないのは、長年勤務し厚生年金に加入していても、初診日の時点で国民年金に加入していると障害厚生年金を受給できないという点です。
例えば、会社員時代に病気になっていても、病院に行ったのが退職後だった、退職して転職活動中に事故に遭ったなどという場合、どれだけ長く厚生年金に加入していても、障害基礎年金しか受給できません。
初診日のわずかな差で、年金の種類や有無、支給額が大きく変わってしまいます。
国が障害年金制度の改正検討を公表
初診日のわずかな差で、年金の種類や有無、支給額が大きく変わってしまう仕組みに対しては、以前から改正を求めている声が障害者から上がっていました。
厚生労働省は「障害厚生年金」を今より受け取りやすくするために、障害年金制度の改正を検討していることを発表しました。
2025年に年金制度の改正法案を国会へ提出することを目指しており、具体策について審議会を設置・議論していくようです。
初診日によって受給できる障害年金の種類が決まる現行の仕組みは1985年の改正法に基づいており、改正が実現すれば約40年ぶりの大きな変更となります。
対象者は制度改正後の新規受給者
ただし、改正の対象となるのは、改正後の新規受給者です。
したがって、現在の受給者には今のところ適用される見込みがありません。
ただし、受給額が大きく変化するだけに現在の受給者も他人事ではないため、自分のことと捉えて今後の動向を注視していく必要があるでしょう。
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まとめ
長年厚生年金に加入していたにもかかわらず、初診日のわずかな差で、障害基礎年金か障害厚生年金に分けられる現行制度は問題だと言わざるを得ません。
そういった意味で、今回の障害年金制度の改正検討は喜ばしいことであり、大きな1歩だといえるでしょう。
ただし、現時点で改正の対象となっているのは、改正後の新規受給者のみであり、改正前の受給者には適用されません。
初診日の差によって障害基礎年金しか受給できず、不満を抱えている方も多いだけに、どのような改正案にまとまるのか気になる部分です。
40年ぶりに年金制度改正が実現するのか、今後の動向を注視していきましょう。
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!