高次脳機能障害で障害年金は受給可能?
高次脳機能障害も障害認定基準をはじめとする受給要件を満たしている状態であれば、障害年金の支給対象となり、受給できる可能性があります。
障害年金の受給要件は次の3つです。
- 初診日の特定
- 加入期間の3分の2以上保険料を納付している
- 障害認定基準を満たしている
高次脳機能障害が障害認定基準を満たしていても、他要件を満たしていない場合、障害年金を受給できないため、注意しましょう。
高次脳機能障害の障害認定基準
高次脳機能障害の障害認定基準は「第8節/精神の障害」に記載されています。高次脳機能障害の障害認定基準は次のとおりです。
障害等級 障害の状態 1級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの 2級 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの 3級
- 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
- 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
障害手当金 認知障害のため、労働が制限を受けるもの
そのため、失語症が出ている場合は「音声又は言語機能の障害用の診断書」を取得しておくとよいです。
また、脳梗塞の後遺症によって身体のまひがある場合は「第7節/肢体障害」の認定基準も適用されるため、肢体障害用の診断書も取得しておくとよいでしょう。
高次脳機能障害で障害年金を申請する際のポイント
高次脳機能障害で障害年金を申請する際のポイントは次の2つです。
- 複数の診断書が必要か確認する
- 高次脳機能障害専門の医師かどうか
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.複数の診断書が必要か確認する
複数の診断書が必要か確認するのが、高次脳機能障害で障害年金を申請する際のポイントです。高次脳機能障害者は失語症や記憶障害といった症状だけでなく、手足のまひなどの障害が残ってしまうケースが非常に多いです。
複数の症状が現れている場合、必要であれば高次脳機能障害用の診断書だけでなく、音声又は言語機能障害用の診断書や、肢体障害用の診断書を用意・提出する必要があります。
2.高次脳機能障害専門の医師かどうか
脳疾患や事故の後遺症で高次脳機能障害となった場合、脳神経外科やリハビリテーション科などにかかっていることが多いです。
しかし、高次脳機能障害は精神障害として診断書を作成する必要があるため、精神障害に詳しくない医師の場合、正確な診断書を作成できない可能性があります。
自力申請が不安なら障害年金専門の社会保険労務士に相談するのがおすすめ!
「自力申請が不安」「主治医が高次脳機能障害専門の医師でなく診断書の内容が心配」という方は障害年金の社会保険労務士に相談するのがおすすめです。
相談時にはしっかりとヒアリングを行い、ご自身の状況に適した申請方法をアドバイスします。
医師に診断書の内容を細かく伝えられない、障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
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高次脳機能障害での障害年金受給事例
高次脳機能障害での障害年金受給事例は次のとおりです。
交通事故のケガによる高次脳機能障害(記憶力・注意力・遂行機能・社会的行動などの低下)で障害厚生年金2級を受給
脳出血による高次脳機能障害(記憶力・注意力・思考力などの低下)で障害厚生年金2級を受給
脳出血による高次脳機能障害(意欲低下・短期記憶障害など)・肢体麻痺で障害基礎年金1級を受給
高次脳機能障害 障害年金でよくある質問
「高次脳機能障害 障害年金」でよくある質問は次の2つです。
- 障害年金とは?
- 高次脳機能障害とは?
- 高次脳機能障害の症状とは?
それぞれ詳しく解説していきます。
1.障害年金とは?
障害年金とは、病気やけがにより、日常生活や仕事に制限が生じた際、現役世代を含めて受給できる国の制度です。
障害認定基準を満たしていれば、どんな傷病であっても障害年金を受給できる可能性があります。
ただ、障害年金は65歳になれば自動的に受給できる老齢年金と違い、申請しないと審査が行われません。そのため、「もらい忘れの多い年金」ともいわれています。
2.高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、脳梗塞などの脳血管障害、事故などの脳外傷などによって、脳がダメージを受けて、注意力や記憶力、言語などが上手く働かなくなる認知機能障害です。以前できたことが上手くできなくなり、日常生活や社会生活に大きな影響を与えます。
しかし、高次脳機能障害は手足のまひなどと違って、外見からは分かりづらいため、「見えない障害」ともいい、周囲から理解されにくいです。
3.高次脳機能障害の症状とは?
高次脳機能障害の代表的な症状は次のとおりです。
- 病識低下
- 注意障害
- 記憶障害
- 社会的行動障害
- 遂行機能障害
- 半側空間無視
- 失語
- 失認
- 失行
- 脳疲労
また、複数の症状が現れることも少なくありません。
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障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
まとめ
高次脳機能障害も障害認定基準をはじめとする受給要件を満たしていれば、障害年金の支給対象となり、受給できる可能性があります。ただ、高次脳機能障害は脳の損傷部位やダメージの大きさによって様々な症状が現れます。
そのため、現れている症状次第では複数の診断書を用意しなければなりません。また、高次脳機能障害は精神障害として診断書を作成する必要があります。
主治医が高次脳機能障害専門でなければ、正確な診断書を作成できない可能性があるため、診断書の内容には十分注意が必要です。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!