高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、交通事故や脳卒中などによって脳の一部が損傷し、脳機能の1部に障害が起きた状態のことです。
高次脳機能障害は麻痺をはじめとする身体障害などと比べると、外見からは分かりにくい障害といわれています。
そのため、周囲の理解を得るのが難しく、誤解されることも少なくありません。
高次脳機能障害の種類・リハビリ方法
高次脳機能障害の代表的な種類とリハビリの方法は次のとおりです。
高次脳機能障害の種類 | 主なリハビリ方法 |
---|---|
注意障害 | 注意手順訓練 |
記憶障害 | 反復訓練・外的代償法・環境調整など |
遂行機能障害 | 問題解決法・身体運転セット転換法など |
半側空間無視 | 言語的手がかり・病態認識など |
行動・情緒の障害 | 行動療法 |
視覚・視空間認知障害 | 視覚探索・視知覚訓練 |
失語や失認、失行、脳疲労など、高次脳機能障害には様々な種類があります。
また、高次脳機能障害は複数の症状が現れることも少なくありません。
高次脳機能障害の診断基準
高次脳機能障害の診断基準は次のとおりです。
引用:東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター-とうきょう高次脳機能障害インフォメーション「高次脳機能障害とは-行政的な診断基準」
高次脳機能障害のリハビリの流れ
高次脳機能障害のリハビリの流れは次のとおりです。
- 障害が生じている脳の機能の洗い出し
- 目標とする生活の明確化
- 目標とする生活に向けたリハビリメニューの作成
- 複雑な脳の働きを訓練するリハビリの実施
- 症状次第ではリハビリと並行して薬を服用し症状改善を図る
高次脳機能障害のリハビリ方法
高次脳機能障害のリハビリ方法は次の3つです。
- 機能訓練
- 代償手段獲得
- 環境調整
それぞれ詳しく解説します。
1.機能訓練
機能訓練とは、障害によって阻害されている能力を訓練して、能力の向上や改善を目指すリハビリの方法です。
主なリハビリ方法としては、記号・数字を覚える記憶訓練や、計算・書き取りに集中する注意訓練などが挙げられます。
2.代償手段獲得
代償手段獲得とは、維持されている能力を有効活用する方法を習得するリハビリの方法です。
主なリハビリ方法としては、アラームを使用した時間管理や、日記をつけたり、メモを取ったりして記憶低下を補うことなどが挙げられます。
3.環境調整
環境調整とは、周囲との関わり方や生活しやすい環境を調整・検討するリハビリの方法です。
主なリハビリ方法としては、情報の伝達や説明などの対応方法を統一したり、物を置く場所を決めて目印をつけたりすることなどが挙げられます。
高次脳機能障害は障害年金の受給対象
高次脳機能障害は障害年金の受給対象です。
障害年金の受給要件を満たしている状態であれば、障害年金を受給できる可能性は十分にあります。
また、脳血管疾患は日本人の死因トップ3位に入るほど発症者が多い疾患であることから、高次脳機能障害関連の申請数は多く、事例も豊富です。
そのため、高次脳機能障害での障害年金の受給ハードルは特殊な疾患と比べるとそこまで高くありません。
しかし、障害年金を受給するためには、受給要件を満たしているかチェックしなければならない他、様々な申請書類を用意する必要があります。
また、高次脳機能障害は外見や検査数値では判断しにくいため、ポイントを押さえた内容で診断書を作成してもらわなければなりません。
「申請の負担を減らしたい」「受給確率を少しでも高めたい」という方は、専門家に相談することをおすすめします。
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高次脳機能障害 リハビリでよくある質問
「高次脳機能障害 リハビリ」でよくある質問は次の4つです。
- リハビリ期間と費用はどれくらいですか?
- 運転は可能ですか?
- 障害年金とはなんですか?
- 高次脳機能障害で障害年金を受給する際の注意点とは?
それぞれ詳しく解説します。
1.リハビリ期間と費用はどれくらいですか?
重度の高次脳機能障害を患っている方がリハビリ目的で入院する場合、最大180日の入院が可能です。
また、高次脳機能障害の方が訓練を受けた場合、訓練を受けた74%が6ヶ月のうちに、94%が1年のうちに効果を実感できています。
次にリハビリ費用です。
回復期リハビリテーション病棟に入院し3ヶ月リハビリを続けた場合、約108万~162万円となります。
2.運転は可能ですか?
高次脳機能障害を発症していても、一定の条件を満たしていれば運転は可能です。
しかし、事故リスクの懸念から、家族に反対されるケースも少なくありません。
そのため、運転を希望する場合は、かかりつけ医に相談してアドバイスを受けながら、家族と話し合うことが大切です。
3.障害年金とはなんですか?
障害年金とは、病気やケガなどで障害状態となってしまい仕事・生活に制限が生じた際に、現役世代でも受け取れる年金制度のことです。
対象の傷病かつ障害認定基準で定められている障害の状態であれば、受給できる可能性がありますが、障害年金の存在を知らないという方は少なくありません。
また、申請しないと受給できない制度であることから「もらい忘れの年金」ともいわれています。
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4.高次脳機能障害で障害年金を受給する際の注意点とは?
高次脳機能障害で障害年金を受給する際の注意点は次の3つです。
- 症状を特定し複数の診断書が必要かどうか確認する
- 高次脳機能障害専門の医師かどうか
- 医師とコミュニケーションを取り具体的な症状を伝える
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高次脳機能 障害 リハビリ まとめ
高次脳機能障害には様々な症状があるため、発症した障害によってリハビリの内容は異なります。
また、複数の症状が出ている場合や目標とする生活によって、リハビリの頻度が増えた場合はリハビリにかかる費用も高額となりがちです。
高額医療費制度を利用すれば、自己負担額に上限が設けられるため、実際に支払う額は抑えられます。
しかし、それでも経済的な負担は増しますし、発症前と同じ水準で仕事ができない場合は収入も見込めません。
そのため、少しでも経済的な負担を軽減したいというのであれば、障害年金の受給をおすすめします。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!