高次脳機能障害とは高次脳機能に起きた障害のこと
高次脳機能とは、知覚や学習、思考などの精神機能の総称です。
高次脳機能障害は認知機能障害の1つで、くも膜下出血をはじめとする脳疾患や、事故による脳外傷などによって、脳が損傷し高次脳機能に障害が起きた状態のことです。
高次脳機能に障害が起きると注意力や記憶力、感情のコントロールなどがうまく働かなくなり、生活に支障をきたします。
しかし、身体の麻痺と違い、外見では健常者と見分けがつきにくいことから「見えない障害」ともいわれています。
高次脳機能障害の代表的な症状
高次脳機能障害の代表的な症状は次の5つです。
- 注意障害
- 記憶障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
- 脳疲労
それぞれ詳しく解説します。
注意障害
注意障害とは、必要な情報に意識を向けるのが難しくなる障害です。
具体的な症状としては以下が挙げられます。
- 集中力が持続しない
- 少しの音や出来事に気をそらされてしまう
- 周囲の状況を見ずに興味のあるものへとびつきやすい
記憶障害
記憶障害とは、記憶をしたり、必要な時に必要なことを思い出したりすることが難しくなる障害です。
病気・ケガ以前の記憶は保ちやすい一方、病気・ケガ後の新しい記憶を保つことが困難になるのが特徴です。
記憶障害の症状としては以下が挙げられます。
- 新しいことを覚えられない
- 同じことを何度も質問する
- 約束を守れない
- 大切なものをどこにしまったかわからなくなる
遂行機能障害
遂行機能障害とは、効率のよい方法を考えた後、段取りをつけて実施するなどの一連の作業が難しくなる障害です。
遂行機能障害の症状としては以下が挙げられます。
- 目標を達成するための段取りを立てられない
- 仕事を途中で投げ出してしまう
- いつもと違う指示をすると混乱してしまう
社会的行動障害
社会的行動障害とは、脳に受けたダメージによって感情・行動をうまくコントロールできなくなる障害のことです。
社会的行動障害の症状として以下が挙げられます。
- 感情のコントロールができず興奮しやすい
- 思い通りにならないと大声をだす
- 自分が中心でないと満足しない
脳疲労
脳疲労とは、神経疲労・易疲労ともいわれ、情報処理に必要な労力が病気・ケガ以前よりも必要になったことで、頭が疲れやすくなる障害です。
脳疲労は本人が自覚していない場合が多い他、周囲からやる気がないなどと誤解されることも少なくありません。
失語や半側空間無視など、高次脳機能障害には他にも様々な症状があります。
高次脳機能障害で障害年金の受給が可能
障害年金とは、病気・ケガによって生活や仕事に支障が生じた際に受け取れる公的年金の1つです。
老齢年金は通常、65歳を迎えないと受給できませんが、障害年金は受給要件を満たしていれば、現役世代でも受給できる可能性があります。
障害年金はほぼすべての疾患が受給対象となり、高次脳機能障害も対象に含まれています。
そのため、高次脳機能障害で障害年金の受給を目指すことは可能です。
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各種書類の作成代行や診断書の添削はもちろん、必要であれば医師への診断書作成依頼・交渉をご相談者様に代わって実施してくれます。
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くも膜下出血も高次脳機能障害の原因となる疾患の1つ
くも膜下出血も高次脳機能障害の原因となる脳疾患の1つです。
脳はくも膜と呼ばれる薄い膜で覆われているのですが、脳とくも膜の間のことを「くも膜下腔(くもまくかくう)」と呼びます。
くも膜下腔は脳脊髄液が循環していて、脳に栄養と酸素を送る太い動脈が張り巡らされています。
くも膜下出血は、そのくも膜下腔を走っている脳血管が何らかの原因で出血した病態の総称です。
医学の進歩などもあり、脳卒中での死亡率は年々減少している一方、くも膜下出血の発症者数・死亡者数は一定水準を保っている状態であり、毎年2万人程度が発症しています。
くも膜下出血の原因
くも膜下出血の原因としては主に以下が挙げられます。
- 脳動脈瘤の破裂
- 脳動静脈奇形からの出血
- 事故・転倒などで生じる頭部外傷
上記原因のうち、発症原因として最も多いのは「脳動脈瘤の破裂」です。
脳動脈瘤は脳の血管の1部が膨らんでコブ(瘤)ができた状態、脳動静脈奇形は脳血管の発生異常により動脈と静脈が直接つながり、とぐろを巻いているような異常血管のことです。
くも膜下出血の症状
くも膜下出血の症状は、発生原因によって異なります。
脳動脈瘤の破裂の場合、数日前から頭痛や吐き気、めまい、血圧の乱れなどの症状が前兆としてみられます。
しかし、ほとんどは後頭部をハンマーで殴打されたような強烈な痛みといわれるほどの経験のない激しい頭痛が起きた後、吐き気や意識障害、おう吐などの症状が伴うことがおおいです。
一方、脳動静脈奇形から出血した場合、最も多いのはけいれん発作で、頭痛や意識障害、吐き気が生じるほか、出血部位によっては失語症や片麻痺などの症状が現れます。
そのため、突然死として有名な病気ともいわれています。
「くも膜下出血 高次脳機能障害」でよくある質問
「くも膜下出血 高次脳機能障害」でよくある質問は次の2つです。
- 高次脳機能障害を発症したら障害年金を必ず受給できるの?
- 高次脳機能障害で障害年金の受給は難しいの?
各質問について詳しく回答します。
1.高次脳機能障害を発症したら障害年金を必ず受給できるの?
高次脳機能障害で障害年金を受給できる可能性があります。
あくまでも受給できる「可能性」があるため、高次脳機能障害を発症したからといって必ず受給できるわけではありません。
また、障害の状態が受給要件を満たしていても、「初診日の特定」「保険料納付」の要件を満たしていない場合は障害年金を受給できないため、注意が必要です。
2.高次脳機能障害で障害年金の受給は難しいの?
高次脳機能障害の症状が重度であるにもかかわらず、障害年金が不支給になる確率は高いです。
そのため、高次脳機能障害で障害年金を受給するのは難しいといえます。
高次脳機能障害で受給するのが難しい理由として主に以下が挙げられます。
- 高次脳機能障害にはさまざまな症状があり、人によって現れる症状が異なるため、事例が多岐にわたる
- 症状によって複数の診断書を用意しなければならない
- 「見えない障害」ともいわれて外見では症状の度合いが判断できない
- 血液検査などのように病状を数値化できない
- 医師とのコミュニケーションが適切にとれておらず、診断書の内容が実情よりも軽い症状となっている
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「くも膜下出血 高次脳機能」のまとめ
くも膜下出血は、くも膜下腔を走っている脳血管が何らかの原因で出血した病態の総称で、主な発症原因は脳動脈瘤の破裂や脳動静脈奇形からの出血となります。
また、くも膜下出血は高次脳機能障害を発症させてしまう可能性がある脳疾患の1つです。
高次脳機能障害も障害年金の受給対象ですが、様々な症状がある他、見た目では分かりにくいため、受給申請する際はポイントを押さえた内容で書類作成しなければなりません。
「素人が申請をするのは不安」「受給確率を上げたい」という方は、障害年金専門の社会保険労務士に申請を代行してもらうことをおすすめします。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!
参考文献
千葉県千葉リハビリテーションセンター-高次脳機能障害とは
愛宕病院-くも膜下出血とは
回復期リハビリテーション.net-くも膜下出血になってしまったら