てんかんで障害年金の受給は可能?
てんかんで障害年金を受給できる可能性はあります。しかし、てんかん発作のみのてんかんでの認定は他の疾病と比較して難しいというのが現状です。
障害認定基準の「第8節 精神の障害」にある「てんかん」の項で、次のような記載があります。
(4) てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制され
る場合にあっては、原則として認定の対象にならない。
つまり、服薬などによっててんかん発作が抑制されている場合、原則として認定の対象外になるということです。
また、平成18年の裁判例では、服薬を自分の意思でやめて、てんかん発作が起きた場合も認定対象外となりました。
障害年金に強い社会保険労務士に相談し、プロ目線で判断してもらいましょう。
障害年金の対象となるてんかんのタイプ
ただし、患っているタイプによっては、てんかんが認定される確率が高まります。認定されやすいてんかんのタイプは以下の2つです。
- てんかん性精神病
- 難治性てんかん
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.てんかん性精神病
「てんかん性精神病」とは、てんかん発作は治まったものの、その後に抑うつ気分や被害妄想といった症状が現れるものです。
てんかん性精神病の場合、てんかん発作がなくても、「精神症状による労働や日常生活制限の程度」に応じて認定され、認定されれば1~3級の障害年金が支給されます。
2.難治性てんかん
「難治性てんかん」とは、服薬しても症状が抑えられず、てんかん発作が生じるてんかんのことです。
難治性てんかんの場合、労働や日常生活の制限度合いとてんかん発作の頻度に応じて認定され、認定されれば1~3級の障害年金が支給されます。
てんかんの障害認定基準
てんかんの障害認定基準は以下の表のとおりです。
障害等級 障害の状態 1級 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の援助が必要なもの 2級 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの 3級 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの 【発作のタイプ】
- A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
- B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
- C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
- D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作
てんかんでの障害年金受給事例
てんかんでの障害年金受給事例としては以下が挙げられます。
【てんかんで障害厚生年金3級】
手足やまぶたといった痙攣を発症し、服薬治療を続けていたものの、定期的な発作で生活に大きな支障をきたしており、日常生活の多くで家族のサポートが必要な状態だった。上記の状態で障害年金の支給が認められ、障害年金厚生年金3級が決定。
【てんかんで障害基礎年金2級】
てんかん発作青地、服薬で発作は治まっていたものの、年数回は大きな発作が起きていた。そのため、職が続かず、手術したものの、別症状が出始め、てんかん発作も週に数回起きる状態となった他、記録力や認知機能などが低下し、日常生活も1人で行うのが困難に。
就業も難しいことから、障害年金申請を行ったところ、支給が認められ、障害基礎年金2級が決定。
そもそもてんかんとは?
「てんかん」とは、意識を突然失い、反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返し起こす病気です。
脳のニューロン(神経細胞)は、数百億ともいわれていますが、基本的な活動は電気的活動であるため、強い電気刺激によって、過剰かつ異常な電気活動を起こす性質があります。
「てんかん発作」は、外部刺激がないにもかかわらず、ニューロンの電気活動が自発的に怒る現象です。
100人に1人はてんかん患者であり、赤ちゃんから高齢者までどの年代でも発症する可能性のある病気の1つといわれています。
ありふれた病気の1つですが、症状や原因が人によって様々です。
てんかんの原因
てんかんの原因は様々で、原因ごとにてんかんの名称は分かれます。
- 原因不明のてんかん:特発性てんかん
- 脳腫瘍など原因が明らかな場合:症候性てんかん
てんかんの症状
てんかん発作の症状は、異常な電気発射が脳のどの範囲で起こるかによって異なるため、非常に多彩です。
- 部分発作
- 全般発作
上記2項目に分けて、てんかんの代表的な症状をみていきましょう。
部分発作
脳の一部で起きる部分発作の場合、以下のような症状が現われます。
- 手がピクつく
- 光がチカチカして見える
電気発射が広がった場合、発作の間は意識がなくなる、一点を凝視して動作が止まり応答不能といった症状が現れます。また、脳全体に電気発射が広がった場合は、全身けいれん発作となるため、注意が必要です。
全般発作
脳全体が一気に興奮する全般発作の場合、以下のような症状が現れます。
- 全身けいれん発作
- 全身や体の一部が一瞬ピクつくミオクロニー発作
- 体に力が入らなくなり急に倒れる脱力発作
- ボーッとする欠神発作
まとめ
結論からいって「てんかん」で障害年金を受給できる可能性はあります。しかし、服薬や外的治療によっててんかん発作を抑えられている状態では、原則として認定対象外となってしまうため、障害年金の受給確率は非常に低いです。
したがって、てんかんで障害年金の受給確率を上げるためには、受給タイミングを見極めることが大切です。ただし、小さな発作や続く、発作がない時期の不調といった症状によっては、障害年金を受給できる可能性があります。
少しでも気になる方は障害年金申請に強い社会保険労務士に相談することをおすすめします。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!