橋本病で障害年金は受給可能?
障害年金とは、病気・けがなどによって生活・仕事に制限が生じた場合、現役世代の方でも受給できる年金のことです。
橋本病も受給要件を満たしていて、障害認定基準に該当する障害状態であれば、障害年金を受給できる可能性があります。
橋本病の障害認定基準
橋本病は甲状腺関連の疾患となり、障害認定基準は「第18節 その他の疾患による障害」が適用されます。認定基準の概要は次のとおりです。
障害の程度 障害の状態 1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの 2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 3級 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
そのため、受給確率を高めるためには、生活にどれだけの制限が生まれているのか、申請書類に具体的に記載しておくことが重要です。
障害年金を請求する際の4つのポイント
障害年金を請求する際のポイントは次の4つです。
- 初診日の特定
- 年金保険料を納付状況
- 障害認定日の要件
- 診断書の内容確認
それぞれ詳しく解説します。
1.初診日の特定
「初診日」とは、障害年金を申請するきっかけとなった病気・ケガの症状に関して、最初に診察を受けた日のことです。例えば、体調不良が続き、かかりつけの内科で診察を受けたところ、大学病院を紹介されて検査を受けた結果、大学病院で橋本病だと診断されたとします。
この場合、かかりつけの内科で診察を受けた日が初診日となります。障害基礎年金か障害厚生年金かは初診日の加入状況によって異なる他、障害認定日の起点となるのは初診日です。
2.年金保険料を納付状況
年金保険料を納付していないと、障害年金の受給はできません。そのため、障害年金を受給する際は、年金保険料の納付状況も確認しておく必要があります。
障害年金の納付要件は次のとおりです。
- 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
- 1を満たさない場合
初診日が2026年(令和8年)3月31日までにある場合、下記2つの条件が該当すれば納付要件を満たすものとする
- 初診日時点で65歳未満である
- 初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない
3.障害認定日の要件
障害認定日とは、障害の状態を固定する日のことです。
対象の疾患によって特例はあるものの、障害認定日と見なされるのは原則、初診日から1年6ヶ月経過した日となります。
4.診断書の内容確認
医師に作成してもらった診断書の内容は必ず確認してください。例えば、体調が改善していないにもかかわらず、診断書に症状が改善していると記載されてしまうと、不支給につながるリスクが高くなります。
また、橋本病などのような具体的な日常生活状況なども受給可否に考慮される疾患の場合、具体的な症状・生活状況が記載されていないと、等級が低くなるリスクも高くなります。
記入漏れがないか確認することも重要です。必須事項が空欄となっている場合、窓口で差し戻されてしまいます。
また、就労状況は必須事項ではありませんが、空欄となっている場合は問題なく就労できていると解釈されてしまい、等級が低くなったり、不支給になったりするリスクがあります。
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橋本病での障害年金受給事例
橋本病の障害年金受給事例は次のとおりです。
橋本病発症後、うつ病も発症し障害厚生年金2級を受給
橋本病をきっかけに双極性感情障害を発症し障害基礎年金2級を受給
橋本病をはじめ様々な疾患・症状が現れている状態で障害厚生年金3級を受給
しかし、受給事例では橋本病単体というよりは、他の症状も併発している状態の方が多いというのが現状です。
ご不安な方は申請前に専門家にご相談することをおすすめします。
橋本病 障害年金でよくある質問
橋本病 障害年金でよくある質問は次の2つです。
- 橋本病とは?
- 橋本病の症状とは?
- 障害年金の等級とは?
それぞれ詳しく解説します。
橋本病とは?
橋本病とは、慢性甲状腺炎とも呼ばれる甲状腺臓器特異性自己免疫疾患の1つで、甲状腺機能低下症を代表する疾患です。体質の変化によって甲状腺を異物としてみなし、甲状腺に対する自己抗体ができます。
その抗体が甲状腺のみを破壊していくことで、しだいに甲状腺機能低下症となっていきます。ただ、機能異常が現れるのは約4割の方といわれており、橋本病と診断されたすべての方に甲状腺機能低下症の症状がでるわけではありません。
橋本病の症状とは?
橋本病の症状は次のとおりです。
初期症状 | くびの圧迫感・違和感 |
---|---|
甲状腺機能低下症になった際の症状 | 全身の代謝が低下することで、無気力や全身のむくみ、体重増加、寒気、かすれ声、疲れやすさなど |
障害年金の等級とは?
障害基礎年金の等級は1~2級の2等級ですが、障害厚生年金の場合は1~3級および障害手当金の4等級です。
障害手当金は一時金であるため、他の等級により継続した支給はされませんが、障害厚生年金の方が、障害基礎年金よりも等級が充実しています。
まとめ
橋本病も障害年金の受給要件を満たし、症状が障害認定基準に該当する状態であれば、障害年金を受給できる可能性があります。ただし、受給事例でも触れたとおり、橋本病単独というよりは、他の疾患・症状が併発している状態で、受給されているケースが多いです。
そのため、橋本病で障害年金を受給するためには、生活・仕事にどれほどの影響が出ているのかしっかりと分かる内容で診断書などを作成する必要があります。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に甲状腺疾患に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!
参考文献
日本年金機構-第18節 その他の疾患による障害
日本年金機構-障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
橋本病について(原因と症状)
一般社団法人日本内分泌学会-橋本病(慢性甲状腺炎)