高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって引き起こされる認知機能の障害です。
この障害は、事故や病気によって脳に損傷を受けた後に現れることが多く、記憶力の低下や注意力の散漫、判断力の低下などの症状を引き起こします。
高次脳機能障害は外見からは分かりにくい障害であり、周囲の理解を得ることが難しい場合が多いです。
高次脳機能障害の主な原因
高次脳機能障害の主な原因としては、以下が挙げられます。
- 交通事故や転落事故などの外傷性脳損傷
- 脳梗塞や脳出血
- 脳腫獍や脳炎などの脳疾患
- 心臓停止や溺水などによる酸素不足
これらの要因により、脳の特定の部位や広範囲に損傷が生じて、高次脳機能障害が引き起こされます。
代表的な症状
高次脳機能障害の代表的な症状は次のとおりです。
- 記憶障害:新しい情報を覚えることが難しくなる。過去の記憶が曖昧になる。
- 注意障害:集中力が続かない。複数のことを同時に行うのが困難になる。
- 遂行機能障害:計画を立てて実行することが難しくなる。臨機応変な対応ができなくなる。
- 社会的行動障害:感情のコントロールが難しくなる。対人関係でのトラブルが増える。
- 半側空間無視:視野の片側を無視してしまう。
- 失語症:言葉の理解や表現が困難になる。
- 失行症:道具の使い方や動作の順序を忘れてしまう。
- 失認症:見たものや聞いたものを正しく認識できなくなる。
高次脳機能障害の症状は多岐にわたり、出てくる症状や重症度には個人差があります。
高次脳機能障害者が受けられる給付金・支援制度
高次脳機能障害者が受けられる給付金・支援制度は次の5つです。
- 障害年金
- 特別障害者手当
- 自立支援医療制度
- 障害福祉サービス
- 就労支援制度
それぞれ詳しく解説します。
障害年金
障害年金とは、公的年金制度を利用して受けられる経済的支援の1つです。
障害年金は65歳にならないと受給できない老齢年金と違い、障害の状態が障害年金の受給相当と認定されれば、若い世代でも受給が可能です。
なお、障害年金には、国民年金加入者を対象とした障害基礎年金と、厚生年金加入者を対象とした障害厚生年金があります。
特別障害者手当
特別障害者手当とは、精神または精神に重度の障害があり、日常生活で常時介護を必要とする20歳以上の在宅障害者に支給される手当です。
重度障害によって経済的かつ精神的な負担軽減を目的とした制度で、月額28,840円が支給されています。(2024年4月時点)
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、障害者の医療費負担を軽減するための公費負担医療制度です。
診断書による審査が必要となりますが、この制度を利用できれば、医療費の自己負担が原則1割になります。
高次脳機能障害の治療やリハビリテーションには長期間かかることが多いため、この制度を利用できれば経済的負担の軽減が可能です。
また、所得に応じて自己負担上限額が設定されているため、高額な医療費がかかる場合でも負担を抑えられます。
障害福祉サービス
障害福祉サービスは、障害者の日常生活や社会生活を支援するためのさまざまなサービスを提供する制度です。
高次脳機能障害者も、障害者手帳の取得や相談支援専門員の判断により、これらのサービスを利用できます。
主な障害福祉サービスとしては、「居宅介護(ホームヘルプ)」「生活介護」などがあります。
高次脳機能障害の症状は個人差が大きいため、それぞれの状況に応じて適切なサービスを選択することが重要です。
就労支援制度
高次脳機能障害者の就労を支援するための制度も整備されています。
主な就労支援制度としては、障害者就業・生活支援センターや、ハローワークの専門窓口などがあります。
高次脳機能障害の場合、症状が外見からわかりにくいため、職場での理解や配慮を得ることが難しい場合が多いです。
これら支援機関の利用により、障害特性に応じた職業訓練や職場開拓、雇用主への説明などのサポートを受けられる他、就労後も継続的な支援を受けられるため、長期的な就労の維持につなげられます。
うつ病で障害年金を受給するなら専門家の相談がおすすめ!
障害年金を申請する際は、主治医に相談して診断書を作成してもらわなければならず、場合によっては診断書の内容について交渉しなければなりません。
特にうつ病は申請書類の内容が受給可否に直結するため、ポイントを押さえた書類でないと、受給確率が下がってしまいます。
また、様々な申請書類を用意しなければならないため、精神的な負担も大きく、障害年金の申請でうつ病が悪化するリスクもゼロではありません。
「申請する負担を軽減させたい」「障害年金の受給確率を少しでも高めたい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
申請代行すれば、障害年金の申請に生じる負担をなくせるため、うつ病が悪化するリスクをなくせます。
また、専門家がこれまでの知見を活かして書類を作成・添削する他、医師への交渉が難しい場合は交渉も代行してくれるため、ポイントを押さえた診断書に仕上げられます。
そのため、ご本人やそのご家族が申請するよりも、障害年金の受給確率を向上させられます。
障害年金の申請を自力で行うことは可能?自力で可能な場合と社労士に依頼した方がよい場合も解説!
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
障害年金申請の基本
高次脳機能障害で障害年金を申請する際には、まず障害年金の概要について理解することが重要です。
ここでは、障害年金の概要について簡単に紹介します。
受給要件
高次脳機能障害で障害年金を受給するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 初診日
- 保険料の納付状況
- 障害の状態
高次脳機能障害と診断されても、上記要件を満たしていなければ、障害年金の申請はできません。
申請する際は医師の診断書や病歴・就労状況等申立書などの書類が必要となります。
高次脳機能障害での障害等級判定
高次脳機能障害の障害等級は、主に精神の障害として判定されます。
具体的な障害等級の内容は次のとおりです。
障害等級 障害の状態 1級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの 2級 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの 3級 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの 障害手当金 認知障害のため、労働が制限を受けるもの 引用:日本年金機構-第8節/精神の障害
高次脳機能障害で障害年金を受給するためのポイント
高次脳機能障害で障害年金を受給するためのポイントは次のとおりです。
- 症状を具体的に説明する
- 併存する障害を理解する
- 高次脳機能障害に詳しい専門医の診断を受ける
- 日常生活の状況を詳細に記録する
- 初診日から現在までの医療記録を整理・保管する
- リハビリテーションの経過を示す
- 就労状況を適切に説明する
障害年金の申請は複雑な手続きが必要です。
そのため、受給確率を少しでも高めたいのであれば、社会保険労務士など専門家のサポートを受けることをおすすめします。
高次脳機能障害で障害年金を受給するなら専門家の申請代行がおすすめ!
「障害年金の受給確率を少しでも高めたい」「申請する負担を軽減させたい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
相談時にしっかりとヒアリングをするため、相談者様の状況に最適な内容で受給申請することが可能です。
専門家に相談すれば、申請に必要な各種書類の作成を代行してくれる他、診断書内容を添削してくれるため、素人が申請するよりも受給確率を向上させられます。
また、医師との交渉ができないという場合は、申請者本人に代わって、医師に診断書作成を依頼してくれます。
障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
高次脳機能障害 給付金 まとめ
高次脳機能障害には障害年金や特別障害者手当、自立支援医療制度など、さまざまな給付金や支援制度が用意されています。
これらの制度を活用すれば、経済的な負担を軽減しながら、リハビリテーションや社会復帰に向けた取り組みを進めることが可能です。
ただし、高次脳機能障害は外見からは分かりにくい障害であるため、経済的な支援を受けるためには、症状を具体的に説明しなければならない場合が多いです。
そのため、申請する際には専門家のサポートを受けることをおすすめします。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!