日常生活能力の程度とは?
「日常生活能力の程度」とは、「診断書(精神の障害用)」の記載項目の1つです。日常生活における制限度合いを5段階で評価し、1~5のどれかに1つの〇がつけられます。
数字が大きいほど制限の度合いが大きく障害の程度が重いと判断されます。
日常生活能力の程度は、等級ガイドラインにおける「障害等級の目安」にも関わってくるため、どの数字に〇がつけられるかは非常に重要です。
日常生活能力の程度の評価項目
日常生活能力の程度の評価項目は「精神障害」と「知的障害」の2種類があり、「障害の原因となった傷病名」によって、障害内容によってどちらか一方を用います。
知的障害を使用する場合
- 障害の原因となった傷病名に知的障害が含まれている
- 発達障害といった知的障害を伴っていて、知的障害項目を使用した方が本人の状態を正しく評価できる
精神障害を使用する場合
障害の原因となった傷病名に知的障害が含まれていない
精神障害
日常生活能力の程度における「精神障害」の評価基準は次のとおりです。
1 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
- 適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用などが自発的にできる。あるいは適切にできる。
- 精神障害を持たない人と同じように日常生活及び社会生活を送ることができる
2 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。
- 1のことを概ね自発的に行えるものの、過大なストレスがかかる状況や手順が変化するなど、場合によって支援が必要とすることがある
3 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
- 1のことを行うためには支援を必要とすることが多く、習慣化された外出は行えるもののストレスがかかる状況だと対処が困難。
- 食事をバランスよく用意するためには助言が必要で、身辺の清潔保持を自発的かつ適切に行えない他、対人交流が乏しく、ひきこもっている
4 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
- 1のことは経常的な援助がないとできない
- 親しい人間がいない、あるいはいても家族以外は医療・福祉関係者にとどまる
- 自発性が著しく乏しく、発言内容が不適切・不明瞭で、日常生活の中で状況に適さない行動をとってしまいがち
5 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
- 1のことは援助があってもほとんどできない
- 入院・入所施設内では、病棟内・施設内で常時個別援助が必要
- 在宅でも自発的に医療機関への外出ができず、付き添いや往診といった対応が必要
- 適切な食事、後片付といった家事や身辺の清潔保持も自発的に行えず、常時援助が必要
※一部抜粋
知的障害
日常生活能力の程度における「知的障害」の評価基準は次のとおりです。
1 知的障害を認めるが、社会生活は普通にできる。
- 適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用などがある程度自発的にできる。あるいは適切にできる。
- 知的障害を持たない人と同じように日常生活及び社会生活を送ることができる。
2 知的障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。
- 1のことを概ね自発的に行えるものの、場合によって支援が必要とすることがある
- 日常会話は行えるが、抽象的な思考は不得手で、込み入った話は困難
- 日常的な家事はこなせるが、状況や手順の変化があると困難が生じることがある
3 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
- 1のことを行うためには支援を必要とすることが多い
- 具体的な事柄の理解や簡単な日常会話は可能だが、声かけといった配慮が必要でごく簡単な読み書きや計算は可能だが、生活場面で用いるのは困難
- 適切な家事を行うには支援が必要で、身辺の清潔保持を自発的行うのは困難
- 適切な指導のもとであれば対人交流や集団行動がある程度でき、単純純作業が可能
4 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
- 1のことは経常的な援助がないとできない
- 読み書きや計算は不得手だが簡単な日常会話は可能
- 親しい人との交流も乏しくひきこもりがちで、自発性が著しく乏しく、発言内容が不適切・不明瞭で、日常生活の中で状況に適さない行動をとってしまいがち
- 保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な作業は可能
5 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
- 1のことは援助があってもほとんどできない
- 言葉の理解が困難もしくはごく身近なことに限定され、意思表示はごく簡単ものに制限がある
- 入院・入所施設内では、病棟内・施設内で常時個別援助が必要
- 在宅でも自発的に医療機関への外出ができず、付き添いが必要
- 適切な食事、後片付けといった家事や身辺の清潔保持も自発的に行えず、常時援助が必要
※一部抜粋
日常生活能力の判定との関係性
「日常生活能力の判定」とは、日常生活能力の程度と同様、診断書(精神の障害用)の記載項目の1つです。日常生活を7つの場面に区分し、それぞれの制限度合いを評価していきます。
「等級ガイドライン」における障害等級の目安は、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の結果をもとに算出します。
この際、どちらか一方の評価が悪いのに対して、もう片方の評価が良好だと矛盾することから、評価時には両者の整合性が意識されるのが一般的です。
そのため、日常生活能力の程度と日常生活能力の判定は相互関係にありますが、症状によっては整合性を保てない場合もあります。
そのような場合は、整合しない理由を「⑪現症時の日常生活活動能力及び労働能力 」の欄に、具体的に記載する仕組みとなっています。
ただし、これらの評価は医師が行うため、ご自身では行えません。低い評価にならないためには、診察時に何ができず、日常生活にどのような制約があるのかを細かく医師に伝えることが大切です。
まとめ
「日常生活能力の程度」は、障害等級の目安を決める重要な項目の1つです。障害等級の目安で受給有無や等級が決定されるわけではありませんが、判定材料として大きく影響することは確かです。
しかし、日常生活能力の程度は医師が記載するため、自身の感覚で評価できません。評価が低いものにならないためには、どのような制約があるのかを、細かく医師に伝える必要があります。
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