うつ病で障害年金の請求は可能!
うつ病で障害年金を請求することは可能です。ただし、請求したら必ず障害年金を受給できるわけというわけではありません。
というのも、障害年金の請求後は支給可否の審査が行われ、審査の結果次第では受給が認められない可能性があるからです。したがって、障害年金を請求する際は、受給できないリスクもあるということも念頭に置いておかなければなりません。
うつ病での障害年金の受給は難しい理由
日本年金機構が公表している「障害年金業務統計(令和2年度決定分)」によれば、精神障害・知的障害の受給決定率は9割を超えています。高い受給決定率を誇っている一方、精神障害の1つであるうつ病は障害年金の受給が難しい疾患として有名です。
難しい理由としては「MRIの検査結果などのように可視化できる明確な基準がない」「初診日が特定しにくい」といった理由が挙げられます。
うつ病で障害年金を受給するためには
うつ病で障害年金を受給するために次の2項目について理解しておかなければなりません。
- 障害年金の受給要件
- 精神の障害に係る等級判定ガイドライン
それぞれ詳しくみていきましょう。
障害年金の受給要件
障害年金の受給要件とは、障害年金を受給できる条件のことです。受給の受給要件は次の3つがあり、これら要件を満たしていない場合は障害年金の申請はできません。
- 初診日:初めて病院を受診した日もしくは、はじめて病名を医師に告げられた日
- 保険料の納付:初診日段階で年金保険料の支払い状況
- 障害の認定基準:症状が障害の認定基準に該当しているか
精神の障害に係る等級判定ガイドライン
精神の障害に係る等級判定ガイドラインは、等級判定ガイドラインとも呼び、精神・知的障害受給率の地域格差をなくすために、2016年9月に運用が開始されました。
「障害認定基準の第8節 精神の障害」に定められている傷病が等級判定ガイドラインの対象となり、当然うつ病もこのガイドラインの対象傷病です。
等級判定ガイドラインについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、そちらをご確認ください!
うつ病での障害年金受給は「医師への伝え方」がポイント!
血液検査やMRI検査といった可視化できる明確な基準がないうつ病では、「診断書」と「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」などの書類に記載されている症状によって障害の重さが判断されます。
つまり、書類の記載内容がうつ病での障害年金受給可否に大きく影響するといっても過言ではありません。
ただ、これらの書類は医師が記述・作成するため、医師への伝え方が曖昧だと、実際の症状より軽い内容となってしまうリスクがあります。このような事態を避けるためには、できるだけ細かく症状を伝えることが大切です。
「風呂には全く入らず、ごみを分別して捨てることができないため、部屋がゴミ屋敷になっている」
「全くやる気が起きず、栄養バランスを考えた献立を決めて、買い物や調理、食事、食器洗い、食器をおさめられない」
うつ病で障害年金を受給する4つのメリット
うつ病で障害年金を受給するメリットとして次の4つが挙げられます。
- 経済的なストレス・不安の軽減
- 障害年金の使い道に制限はない
- 国民年金保険料が免除される
- 障害年金に税金はかからない
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.経済的なストレス・不安の軽減
経済的なストレス・不安の軽減につなげられることが障害年金を受給するメリットといえるでしょう。障害年金の受給額は障害等級などによって異なるものの、10万~30万円程度が2ヶ月に1度、定期的に振り込まれます。
障害年金受給によって定期的な収入が生まれれば、治療に専念できる他、収入があるという安心感から精神的にも余裕が生まれ、症状の緩和が期待できます。
2.障害年金の使い道に制限はない
生活保護の場合、土地や車、家屋といった所有制限がある他、収入によっては支給額の減額・支給停止といった様々な制約があります。
一方、障害年金はこれらの制約がなく、使い道の制限もありません。そのため、資産・収入があったり、親族から援助があったりしても減額されることなく受給が可能です。
また、普通の生活ができるようになっても、次の更新までは打ち切られることなく受給できます。
3.国民年金保険料が免除される
障害基礎年金の1級・2級の受給者は、申請によって国民年金保険料の支払いが全額免除される法定免除を受けられます。ただし、免除される分、負担は軽減できますが、法定免除を受けると、将来受け取る老齢基礎年金が減額されてしまいます。
任意で納付したり、追納したりすることで満額受給することもできますが、法定免除を申請する際はこのようなリスクがあることを理解しておかなければなりません。
4.障害年金に税金はかからない
障害年金は非課税のため、所得税・住民税といった税金はかかりません。ただし、住民税は前年所得を基準に決定されるため、状況次第では住民税が生じる可能性があります。
例えば、2023年の収入が障害年金のみだったとしましょう。しかし、2023年の住民税は2022年の所得基準で決定されるため、2022年に障害年金以外の収入があり所得税を納付している場合、2023年には住民税が生じるということです。
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まとめ
うつ病で障害年金の請求は可能です。しかし、うつ病での障害年金は受給が難しいという側面もあり、申請したからといって必ず受給できるわけではありません。
ただ、日本年金機構が公表したデータを見るかぎり、精神・知的障害の受給率は高いため、当記事で紹介したポイントを押さえておけば、受給確率が高まる可能性は高いです。障害年金を受給すれば経済的なストレス・不安の軽減などのメリットを得られます。
精神的な余裕を少しでも得るためにも、一歩踏み出して一緒に障害年金受給を目指しませんか?
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心にうつ病に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!