
高次脳機能障害によって働けない状態が続いている方の中には、「このまま仕事に戻れないのでは」「収入が途切れたらどうしよう」と強い不安を抱えるケースが少なくありません。
高次脳機能障害は周囲から理解されにくい障害です。
そのため、仕事が続けられない状況に追い込まれた結果、生活そのものに大きな負担がかかり、将来の見通しが持てなくなることがあります。
この記事では、高次脳機能障害で働けないと感じる原因や、利用できる生活支援制度、障害年金を受給するために押さえておくべきポイントなどについて解説します。

高次脳機能で今後の生活に少しでも不安や疑問がある方は、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
ご相談者様の状況に合わせ、最適な申請方法をご提案し、最大限サポートいたします。
高次脳機能障害で「働けない」と感じる原因とは?
高次脳機能障害の方が「働けない」と感じる背景には、表面から見えにくい脳機能の障害があります。
その多くは脳へのダメージにより、脳の情報処理機能が損なわれていることが原因ですが、外見では分かりにくいため、「怠けている」と周囲に誤解されやすいです。
ここでは、代表的な障害とその症状について解説します。
記憶障害
記憶障害は「覚える」「思い出す」の両方が難しくなり、仕事の手順が身につきにくくなる障害です。
昨日教わった作業を今日忘れてしまう、メモしてもその存在自体を忘れてしまうなど、日常の細かな記憶が抜け落ちるような感覚が続きます。
本人は「努力が足りない」と感じやすいですが、実際には脳が情報を保持する力が低下しているのが原因です。
また、短期記憶だけでなく、長期記憶への定着も弱くなるケースがあり、仕事の効率が大きく下がってしまいます。
注意障害
注意障害は、集中力や注意の持続が困難となる障害です。
少しの音や話し声で注意がそがれたり、複数作業を切り替える場面で混乱したりすることが多く、作業ミスが続きます。
特に事務作業やレジ業務など、正確性が求められる仕事では困難さが顕著です。
本人は「気をつけているつもり」でも、脳の特性上、注意のコントロールが難しく、結果的に仕事の評価を落としてしまうことがあります。
遂行機能障害
遂行機能障害は「計画を立てる」「優先順位を決める」「作業を順序立てて進める」といった力が低下する障害です。
仕事の段取りがうまく組めず、作業の途中で混乱したり、必要な準備を忘れてしまったりすることが増えます。
周囲からは「要領が悪い」「何度言っても改善しない」と見られがちですが、脳の実行機能が低下していることが原因です。
指示が複数あると処理しきれなくなり、結果として大きなミスにつながることがあります。
社会的行動障害
社会的行動障害は、感情のコントロールや対人コミュニケーションが難しくなる障害です。
思ってもいないことを口にしてしまったり、相手の意図を読み取れなかったりするなど、職場で誤解を生むことが増え、心理的な負担が大きくなります。
本人も関係悪化に悩み、人間関係のストレスから職場を離れるケースも少なくありません。
高次脳機能障害の方が向いている仕事とは?
高次脳機能障害の方が向いている仕事は主に次のとおりです。
- 単純作業・定型業務:ミスを減らしやすい環境
- 静かな環境での業務:刺激を減らし働きやすさ向上
- 時間に追われない業務:焦りによるミスの軽減

詳細は別記事にて詳しく解説しているため、こちらも合わせて参考にしてください。
高次脳機能障害の方が仕事を探す際のポイント
高次脳機能障害の方が仕事を探す際のポイントは次のとおりです。
- 就労移行支援を活用する
- 障害者雇用枠での応募
- 支援機関(就業・生活支援センター)を利用する
就労移行支援を活用すれば、就労に必要なスキルを身につけながら、自分に合う職場選びをサポートしてもらえます。
また、障害者雇用枠で応募すれば、障害特性への理解がある企業で働けるため、負担が少ない働き方を実現できる他、支援機関の利用により、就職後も継続的にサポートを受けることで、離職リスクの軽減が可能です。
高次脳機能障害で働けない時に利用できる生活支援制度
高次脳機能障害で働けない時に利用できる代表的な生活支援制度は次の4つです。
- 障害年金
- 障害者手帳
- 傷病手当金
- 生活保護

各制度の詳しい説明は別記事でまとめておりますので、こちらをご確認ください。
障害年金とは?
障害年金とは、病気やけがにより「働くことが難しい」「日常生活に支障がある」という状態が続く場合に受給できる可能性がある所得補償制度です。
老齢年金や遺族年金と同じく国の年金制度の一つですが、症状が長期化し、生活や就労に制限が生じている方であれば、現役世代でも受給できる点が大きな特徴です。
高次脳機能障害で障害年金を受給するなら専門家の申請代行がおすすめ!
「障害年金の受給確率を少しでも高めたい」「申請する負担を軽減させたい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
相談時にしっかりとヒアリングをするため、相談者様の状況に最適な内容で受給申請することが可能です。

専門家に相談すれば、申請に必要な各種書類の作成を代行してくれる他、診断書内容を添削してくれるため、素人が申請するよりも受給確率を向上させられます。
また、医師との交渉ができないという場合は、申請者本人に代わって、医師に診断書作成を依頼してくれます。
障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
「高次脳機能障害 働けない」でよくある質問
ここでは、「高次脳機能障害 働けない」でよくある質問をまとめました。
ぜひ参考にしてください。
Q1. 高次脳機能障害で働けなくなったら障害年金は必ずもらえますか?
高次脳機能障害で働けていないからといって、必ず障害年金を受給できるわけではありません。
受給するにはまず、「初診日の特定」「年金保険料納付」「障害の状態」の3つの要件を満たしておく必要があります。
また、上記3つの要件を満たしていても、診断書などの申請書類の審査で最終的な受給可否が決まるため、必ずしも受給できるとは限りません。
Q2. 働きながら障害年金を受給できますか?
可能です。
症状や日常生活の制限が基準となるため、仕事をしていても受給できる可能性があります。
Q3. 自力で障害年金の申請は可能ですか?
可能です。
ただし、書類不備などで不支給となるリスクがあるため、受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に相談して申請を代行してもらう方が安心です。
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障害年金の申請を自力で行うことは可能?自力で可能な場合と社労士に依頼した方がよい場合も解説!
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
まとめ
高次脳機能障害で働くことが難しい方の中には、「このまま仕事を続けられるのか」「収入が不安定な状態が長引くのでは」と不安を抱える方が少なくありません。
しかし、高次脳機能障害の特性や働きづらさの原因を正しく理解し、利用できる制度や働き方の選択肢を把握しておくことで、生活の不安を大きく減らせます。
今回のポイントは主に次のとおりです。
- 記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害などが働けない理由につながる
- 働けないときに利用できる制度として、障害年金・障害者手帳・傷病手当金・生活保護がある
- 障害年金の受給には初診日の証明や診断書・申立書の一貫性がとても重要
「働けない状況からどう抜け出せばいいのかわからない」「制度のどれが自分に当てはまるか不安」と感じたら、早めに専門の社会保険労務士や支援機関へ相談することをおすすめします。





