高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、脳梗塞や脳出血、頭部外傷などによって脳に損傷を受けた結果、認知機能に障害が生じる状態のことです。
主な症状には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが挙げられます。
これらの症状により、新しい情報を覚えられない、集中力が続かない、計画を立てて実行することが難しいといった困難が生じ、日常生活や社会生活に支障をきたします。
また、高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、「見えない障害」とも呼ばれる障害です。
そのため、周囲の理解を得ることが難しく、本人や家族が苦労することがありますが、適切な支援を受けることで、症状の改善や社会復帰につながる可能性があります。
高次脳機能障害を持つ人の就労支援の必要性
高次脳機能障害を持つ人の就労支援は、社会復帰と自立を実現するために非常に重要です。
この障害は、脳梗塞や頭部外傷などにより、記憶力や注意力、遂行機能に影響を与えます。
外見からは分かりにくい「見えない障害」であるため、周囲の理解を得るのが難しく、職場で様々な困難に直面することがあります。
このような特性を持つ人々が、適切な環境で能力を発揮するためには、専門的な就労支援が不可欠です。
就労支援を通じて、個々の障害特性に応じた職業訓練や職場環境の調整することで、安定した就労生活を送ることが可能になります。
就労支援機関
高次脳機能障害を持つ方の就労支援には、様々な専門機関が関わっています。
代表的な支援期間は次のとおりです。
- ハローワーク:障害の状況や希望に応じた職業相談や職業紹介を実施
- 地域障害者職業センター:職業評価や職業準備支援、ジョブコーチ支援などの専門的なリハビリテーションサービスを提供
- 障害者就業・生活支援センター:就業面と生活面の一体的な相談支援を実施
- 就労移行支援事業所:一般就労に向けた訓練や就職活動支援、職場定着支援を実施
これらの機関は連携して支援を実施してくれるため、一人ひとりのニーズに合わせた総合的なサポートが可能です。
代表的な就労支援
高次脳機能障害を持つ方の就労支援には、様々な制度やプログラムが用意されています。
それぞれの特徴や対象者を理解し、自分に合った支援を選ぶことが重要です。
代表的な就労支援は次の4つです。
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 高次脳機能障害者のための就労準備支援プログラム
- 就労定着支援
それぞれ詳しく解説します。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害者を対象とした支援制度です。
この制度では、就職に必要なスキルの習得や職場体験、求職活動のサポートなどが提供されます。
利用期間は原則2年間で、その間に就労に必要な知識や能力の向上を図ります。
受けられるサポートは具体的に次のとおりです。
- 職業評価とカウンセリング
- ビジネスマナーや社会生活スキルの訓練
- パソコンスキルなどの職業訓練
- 模擬面接や履歴書作成指導
- 企業実習や職場体験の機会提供
高次脳機能障害を持つ方にとって、就労移行支援は段階的に就労準備を進められる点が大きなメリットです。
自分のペースで能力を向上させながら、就職に向けて着実に準備を進められます。
また、就職後も定着支援として、職場での悩みや課題に対するフォローアップを受けられるため、長期的な就労継続をサポートしてくれます。
就労継続支援A型・B型
就労継続支援は、一般企業での就労が困難な障害者に対して、働く場を提供する支援制度です。
A型とB型の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
就労継続支援A型は、雇用契約を結んで働く形態で、最低賃金が保障され、より一般就労に近い環境で働けます。
一方、就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに働く形態で、作業内容や労働時間をより柔軟に設定できます。
高次脳機能障害を持つ方の場合、症状の程度や回復段階によって適する型が異なります。
A型は比較的症状が軽度で、ある程度の労働時間や作業量をこなせる方、一方B型は、より配慮が必要な方や、段階的に就労能力を向上させたい方に適しています。
どちらの型も、作業を通じて就労能力の向上を図りつつ、一般就労に向けた準備や支援も受けられます。
また、期限の定めがないため、長期的な視点で就労支援を受けることが可能です。
高次脳機能障害者のための就労準備支援プログラム
高次脳機能障害者のための就労準備支援プログラムは、障害の特性に配慮した専門的な支援を提供します。
主な支援内容は次のとおりです。
- 職業評価:高次脳機能障害の評価を通じて、個々の能力を評価
- 就労準備講習:就労に必要な基本的なスキルを習得する講習の実施
- グループワーク:他の利用者と共に活動し、コミュニケーションスキルの向上
- 個別相談:専門スタッフが個別に相談に応じ、就労に向けた課題解決をサポート
このプログラムの特徴は、高次脳機能障害の症状に合わせた支援が受けられる点です。
記憶障害や注意障害に対応した訓練を受けられる他、医療機関と連携しながら支援してくれるため、医療面でのフォローも充実しています。
就労定着支援
就労定着支援は、一般就労した障害者が職場に定着できるよう、継続的にサポートする制度です。
主な支援内容は次のとおりです。
- 定期的な職場訪問や面談によるフォローアップ
- 職場での課題解決のサポート
- 生活面での相談対応
- 職場や医療機関との連携
高次脳機能障害を持つ方にとって、就労後の環境変化に適応することは大きな課題です。
就労定着支援では、こうした課題に対して継続的なサポートを受けられる他、職場の上司や同僚との関係調整や、業務内容の見直しもサポートしてくれます。
障害年金の受給を検討するのも1つの手段
高次脳機能障害を持つ方の就労支援において、障害年金の受給を検討することも重要な選択肢の1つです。
障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が生じた場合に受給できる制度です。
高次脳機能障害の方も、症状の程度によっては受給対象となる可能性があります。
障害年金を受給できれば、経済的な安定をもたらしてくれるため、より安定した生活基盤を築きながら、治療や就労支援を受けられます。
高次脳機能障害で障害年金を受給するなら専門家の申請代行がおすすめ!
「障害年金の受給確率を少しでも高めたい」「申請する負担を軽減させたい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
相談時にしっかりとヒアリングをするため、相談者様の状況に最適な内容で受給申請することが可能です。
専門家に相談すれば、申請に必要な各種書類の作成を代行してくれる他、診断書内容を添削してくれるため、素人が申請するよりも受給確率を向上させられます。
また、医師との交渉ができないという場合は、申請者本人に代わって、医師に診断書作成を依頼してくれます。
障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
障害年金の申請を自力で行うことは可能?自力で可能な場合と社労士に依頼した方がよい場合も解説!
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
「高次脳機能障害 就労支援」でよくある質問
「高次脳機能障害 就労支援」でよくある質問は次の2つです。
- 高次脳機能障害と相性が良い仕事を教えてください
- 障害年金は個人で申請できますか?
それぞれ詳しく解説します。
高次脳機能障害と相性が良い仕事を教えてください
高次脳機能障害と相性が良い仕事は、個人の特性によりますが、データ入力や書類整理、軽作業などが適しているといわれています。
具体的な職種としては主に次のとおりです。
- 一般事務(データ入力)
- 軽作業(商品の仕分け)
- 清掃業務
個人の特性や希望によって最適な仕事は異なりますので、就労支援機関を利用して職業評価を受けることが重要です。
また、高次脳機能障害に向いている仕事・向いていない仕事については別記事で詳しく解説しておりますのでそちらも合わせてチェックしてみてください。
高次脳機能障害を発症している人が向いている仕事とは?仕事の探し方なども解説
高次脳機能障害がある方でも就労は十分可能です。しかし、高次脳機能障害は人によって現れる症状が違います。無理なく長く働くためには症状を理解して、自分に合った仕事に就く必要があります。また、どうしても働くのが難しい、給与が低くて経済的な不安が大きいなどの不安がある場合は、障害年金の受給を検討するとよいです。
障害年金は個人で申請できますか?
障害年金の申請は個人で申請可能です。
しかし、高次脳機能障害で障害年金の申請をする場合、症状の把握が難しいこともあります。
また、ポイントを押さえたうえで各書類を作成する必要があるため、障害年金の受給確率を少しでも高めたいのであれば、社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
高次脳機能障害 就労支援 まとめ
高次脳機能障害を持つ方の就労支援には、様々な制度やプログラムが用意されていますが、個々の状況に応じた適切な支援を選択することが重要です。
就労移行支援や就労継続支援A型・B型、など、多様な選択肢がありますが、それぞれの特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶことが成功への鍵となります。
また、家族や支援者の理解と協力も不可欠です。
障害特性を正しく理解し、適切なサポートを提供することで、就労の可能性が大きく広がります。
このように、高次脳機能障害を持つ方の就労支援は、単なる就職支援にとどまらず、生活の質の向上と自立につながる重要な取り組みといえるでしょう。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!