腎臓病の基礎知識
腎臓病の基礎知識を次の3項目に分けて開設します。
- 腎臓の役割
- 腎臓病の種類
- 腎臓病の症状
それぞれ詳しくみていきましょう。
腎臓の役割
腎臓は、体内の老廃物を排出し、体液のバランスを維持する重要な臓器です。
血液をろ過して尿を作り、余分な水分や老廃物を体外に排出する役割を担っている他、血圧の調節、赤血球の生成促進、骨の健康維持にも関与しています。
つまり、腎臓が正常に機能することで、体内の電解質バランスが保たれ、健康な状態を維持できるというわけです。
腎臓病の種類
腎臓病の種類は大きく分けて次の2つです。
- 急性腎不全
- 慢性腎不全
急性腎不全とは、腎臓の機能が突然低下する状態です。
主な原因は、腎前性(脱水・出血による腎臓への血流低下)、腎性(腎臓の炎症・尿細管細胞障害などによる腎機能低下)、腎後性(尿路系閉塞など)があります。
原因を早急に突き止めて適切な治療を受ければ回復する可能性がありますが、急性腎不全から慢性腎臓病などに移行する場合も少なくないため、注意が必要です。
一方、慢性腎不全は、長期間にわたって腎機能が徐々に低下する状態です。
慢性腎不全は糖尿病や高血圧などの生活習慣病が原因で発症することが多く、進行すると透析や腎移植が必要になります。
腎臓病の症状
腎臓病の初期症状には、むくみや疲労感、食欲不振、尿の異常などがあり、進行すると尿毒症や貧血、高血圧、骨の弱化などの深刻な症状が現れます。
特に、むくみは腎臓病の初期に見られることが多いです。
ただし、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が原因で発症する慢性腎臓病は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
そのため、定期的な健康診断で早期発見することはもちろん万が一、これらの症状に気づいた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
透析療法について
透析療法とは、腎臓の機能が著しく低下した方に対して行われる重要な治療法です。
ここでは次の2項目に分けて透析療法を解説します。
- 透析の目的
- 透析の種類
それぞれ詳しくみていきましょう。
透析の目的
透析治療の主な目的は次のとおりです。
- 体内に蓄積した老廃物(尿毒素)の除去
- 余分な水分の除去
- 電解質バランスの調整
腎臓の機能が正常の10~15%以下に低下すると、体内の老廃物や余分な水分を排出できなくなり、尿毒症や水分過多による心不全などの深刻な症状が現れます。
透析は、機能の低下によって老廃物や水分を除去できなくなった腎臓の代わりに、これらの物質を排出して電解質バランスを保つことで、症状を予防し、患者の健康を維持します。
透析の種類
透析には主に次の2つです。
- 血液透析
- 腹膜透析
血液透析は、患者の血液を体外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる装置で浄化してから体内に戻す方法で、通3回通院する必要があります。
一方、腹膜透析は、患者の腹腔に透析液を注入し、腹膜をフィルターとして利用して血液を浄化する方法です。
血液透析と違い、腹膜透析は自宅で実施可能なため、患者の生活の自由度が高いのが特徴です。
透析治療の開始によって仕事が続けられないリスクがある
透析治療の開始は、患者の仕事生活に大きな影響を与えることがあります。
血液透析の場合、週3回通院し、1回4〜5時間の治療時間を確保しなければならないため、通院時間も考慮すると、仕事との両立が難しくなるケースが多いです。
しかし、工夫次第で仕事を続けることは可能です。
仕事と両立する方法としては以下が挙げられます。
- テレワークやフレックスタイム制といった勤務制度の活用により、透析スケジュールに合わせて勤務時間を調整する
- 透析治療について説明して職場の理解と協力を得て、必要な配慮をお願いする
- 十分な休息とバランスの取れた食事で体調管理を徹底し、定期的に医師と相談する
また、近年は在宅で透析ができる腹膜透析や、就寝時間に透析を実施するオーバーナイト透析もあるため、これらを検討するのも1つの手段です。
透析治療と仕事の両立は簡単ではありません。
しかし、適切なサポートと工夫により両立できる可能性もあるため、職場や家族、医療機関と連携しながら、最適な方法を見つけていくことが重要です。
透析患者は原則「障害年金2級」
透析患者は原則として「障害年金2級」の受給対象です。
これは、透析治療が患者の日常生活や就労に大きな影響を与えるという認識に基づいています。
ただし、透析を受けはじめたからといって、自動的に障害年金が受給できるわけではありません。
透析患者が障害年金2級を受給するためには、「初診日の特定」と「保険料の納付要件」を満たしたうえで、受給申請する必要があります。
そのため、上記要件を満たしていない場合や、要件を満たしていても受給申請していない場合、障害年金の受給ができないため、注意が必要です。
また、状況によっては、障害年金1級を受給できるケースもあるため、詳細については障害年金に対応している社会保険労務士への相談をおすすめします。
人工透析で障害年金を受給するなら専門家の申請代行がおすすめ!
「申請する負担を軽減させたい」「自分の状態にあったベストな内容で受給申請したい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
相談時にしっかりとヒアリングをするため、相談者様の状況に最適な内容で受給申請することが可能です。
専門家に相談すれば、申請に必要な各種書類の作成を代行してくれる他、診断書内容を添削してくれるため、素人が申請するよりも受給確率を向上させられます。
また、医師との交渉ができないという場合は、申請者本人に代わって、医師に診断書作成を依頼してくれます。
障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
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「腎臓病と透析」でよくある質問
「腎臓病と透析」でよくある質問は次の3つです。
- 透析治療の医療費はどれくらいかかりますか?
- 透析で「障害年金1級」は受給できないのですか?
- 現在腎臓病ですが透析治療を受けていなくても障害年金を受給できますか?
それぞれ詳しく解説します。
透析治療の医療費はどれくらいかかりますか?
透析治療の医療費は、患者さんの状態や治療方法によって異なりますが、一般的にどの治療法も高額になりがちです。
しかし、日本では健康保険制度や特定疾病療養制度により、患者さんの自己負担は大幅に軽減されています。
医療費や医療費負担の軽減制度の詳細については、下記記事をご覧ください。
透析で「障害年金1級」は受給できないのですか?
透析患者の場合、通常は「日常生活が著しい制限を受ける」と判断されるため、障害年金2級に認定されることが多いです。
しかし、透析に加えて他の重度の合併症がある場合や、透析の管理が特に困難な場合などは、1級に該当する可能性があります。
つまり、状況によっては「障害年金1級」を受給できるケースもあるということです。
障害年金の等級判定は個別の状況をしっかりと見極める必要があるため、詳しくは障害年金に詳しい社会保険労務士に相談することをおすすめします。
現在腎臓病ですが透析治療を受けていなくても障害年金を受給できますか?
透析治療を受けていなくても、腎臓病の症状が一定以上の重症度である場合は障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、透析患者と違って、受給要件を満たしていれば、原則受給できるというわけではありません。
受給の可能性については個々の状況によって判断が異なるため、専門家(社会保険労務士など)に相談することをおすすめします。
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腎臓病と透析 まとめ
腎臓病は、腎臓の機能が低下し、老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなる病気です。
急性腎不全と慢性腎不全があり、特に慢性腎不全は進行すると透析治療が必要となります。
透析は深刻な症状を予防するためには欠かせない治療ですが、1度開始すると継続して治療を受けなければならず、仕事の両立が難しくなるケースが少なくありません。
しかし、在宅透析の導入や職場の理解と協力を得られれば、仕事との両立が可能な他、透析患者は原則「障害年金2級」を受給できるため、申請すれば経済的支援を受けられます。
腎臓病と透析に関する正確な情報を理解し、適切な治療と生活管理を実施すれば、生活の質を向上させることは十分可能です。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に腎疾患や人工透析に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!