精神障害で働けている場合は障害年金2級は受給できない?
精神障害で働けている場合、障害年金2級以上は受給できないでしょうか?ここでは、以下項目に沿って、受給可否について解説していきます。
- 精神障害とは?
- 精神障害の障害認定基準
- 働きながら障害年金を受給している人の割合
- 精神障害で働きながら障害年金を受給できた事例
それぞれ詳しくみていきましょう。
精神障害とは?
精神障害とは、精神疾患によって精神機能に障害が生じてしまい、日常生活や就業が困難な状態のことです。症状が重くなると、行動のコントロールや判断能力が大きく低下することもあります。
精神障害はうつ病をはじめとする気分障害や統合失調症、パニック障害や強迫性障害などの神経症・ストレス関連障害、認知症、パーソナリティ障害など、様々な種類があります。
精神障害の障害認定基準
精神障害による症状が障害認定基準に該当していないと、障害年金を受給することはできません。精神障害における障害認定基準は次のとおりです。
障害等級 障害の状態 1級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの 2級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの 3級
- 精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
- 精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
障害手当金 精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
また、精神障害の場合、障害認定基準では次の5つに区分されています。
- 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
- 気分(感情)障害
- 症状性を含む器質性精神障害
- てんかん
- 知的障害
- 発達障害
上記のうち、一般的なうつ病は「気分(感情)障害」に該当します。
精神障害で働きながら障害年金を受給している人の割合
うつ病をはじめとする精神障害は、血液検査やMRIなどのように状態の善し悪しを数値化することができません。そのため、障害年金を受給するのが難しいといわれています。
しかし、2022年9月に日本年金機構が発表した「障害年金業務統計(令和3年度決定分)」によれば、精神障害・知的障害の支給件数は全体の66.6%を占めています。
また、2019年のデータによれば、障害年金の受給者のうち、34%は働きながら障害年金を受給しているという結果でした。古いデータであるため、多少増減している可能性はありますが、精神疾患で障害年金を受給している人のうち、約4人1人は働きながら受給している結果となっています。
精神障害で働きながら障害年金を受給できた事例
うつ病でフルタイム勤務しながら障害厚生年金2級を受給
就労している状態ながら持続性抑うつ障害などで障害厚生年金2級を受給
精神障害で働けているという理由で障害年金が不支給になることはない
就労しているというだけの理由で障害年金の支給を認めないのは不当だとして、不支給処分の取り消しを求めた訴訟では、東京地裁が国に対して決定の取り消しと障害年金の支給を命じる判決を下しました。
裁判所の見解および、ここまで紹介した情報を踏まえると、働いていることを理由に障害年金の支給が認められないということはありません。
就労状況や診断書の内容次第では支給停止となる場合もある
「障害年金を受給した後に就労した場合はどうなの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。これまで紹介したとおり、就労していることを理由に不支給になることはありません。
したがって、就労したからといって支給が即停止になることはないため、安心してください。
しかし、障害年金は「有期認定」と「永久認定」の2通りがあります。有期認定の場合は更新時期に障害状態の確認及び、受給可否や等級の見直しが行われるのですが、その際、診断書を再度提出しなければなりません。
社労士に障害年金の申請を一任するのも1つの手段
受給事例やこれまでの見解を踏まえると、精神障害の方が働きながら障害年金2級を受給できる可能性はあります。ただし、精神障害はただでさえ、障害年金の受給が難しい疾患だといわれています。
そのため、そこからさらに働いている状態から障害年金2級を受給しようとなると、障害状態が2級だと認められるような、診断書や病歴・就労状況等申立書の内容にしなければなりません。
障害年金の専門家であれば、本人に代わって医師に診断書作成を依頼してくれる他、専門的な知見でポイントを押さえた内容で書類を作成してくれるため、受給確率を向上させられます。
また、依頼先によっては更新手続きといった各種障害年金の手続きをすべて代行してくれる場合があるため、受給後も安心です。
障害年金の申請を自力で行うことは可能?自力で可能な場合と社労士に依頼した方がよい場合も解説!
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
まとめ
就労しているという理由だけで、障害年金が不支給になることはありません。また、精神障害で働けている方でも障害年金2級を受給している事例も多いため、受給できる可能性は十分にあります。
ただし、しっかりと医師に症状を伝えていないと、実際の症状よりも軽度な内容で診断書が作成されることも多いです。それに加えて、就労している=症状が軽いと認識されて、不支給になるリスクも少なくありません。
精神疾患で働いている状態でも障害年金2級以上を受給するためには、ポイントをしっかりと押さえた診断書を作成してもらうことが大切です。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心にうつ病に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!