就労していない人工透析患者は66.2%
「2021年度血液透析患者実態調査報告書」によると、「仕事をしていない(学生を含む)」と回答した透析患者は66.2%でした。
一方、仕事をしていない・学生の人のうち、「仕事をしたいが仕事につけない」と回答したのは30.2%でした。
以上の結果から、透析治療と仕事の両立が難しいことがわかります。
血液透析患者実態調査報告書は、一財・統計研究会と、公社・日本透析医会が5年に1度、血液透析患者を対象に実施している全国実態調査です。
透析患者の就労の現状と課題
透析患者さんが仕事を続ける上で、いくつかの課題があります。
ここでは、主な3つの課題について解説します。
疲労感による仕事への影響
まず挙げられるのが、疲労感による仕事への影響です。
透析治療は体に大きな負担がかかるため、治療後は疲労感や血圧の変動、筋肉の痙攣などが出現し、仕事のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
そのため、長時間労働や肉体労働が難しくなることが少なくありません。
また、透析患者さんは免疫力が低下しているため、感染症のリスクにも注意が必要です。
治療に時間がかかる
透析治療には多くの時間が必要です。
一般的な血液透析の場合、週3回、1回あたり4〜5時間の治療時間が必要となります。
これに加えて、通院時間や準備、後片付けの時間も考慮すると、透析関連の時間として週15時間以上は確保しておかなければなりません。
この時間的制約が、フルタイムでの就労を難しくしている大きな要因の1つです。
周囲に理解されなくい
人工透析は内部疾患のため、外見からは治療の必要性が伝わりにくく、職場の同僚や上司から理解を得られにくいのが現状です。
この心理的な負担も、長期的な就労を難しくする要因となっています。
透析患者に適した職種と働き方
適切な職種選びと柔軟な働き方を見つけることで、透析患者でも充実した職業生活を送ることが可能です。
ここでは、透析患者の方に適した職種と働き方について解説します。
身体への負担が少ない業務
透析患者は身体への負担が少ない業務が適しています。
職種は具体的に次のとおりです。
- 一般事務職
- プログラマー・システムエンジニア
- Webデザイナー
- コールセンター業務
時間の融通が利く業務
透析治療のスケジュールに合わせて働くためには、時間の融通が利く業務が理想的です。
以下のような働き方や職種が透析患者の方に適しています。
- フレックスタイム制
- テレワーク・在宅勤務
- パートタイム勤務
- フリーランス
これらの柔軟な働き方を選択すれば、透析治療と仕事の両立がしやすくなります。
雇用主との良好なコミュニケーションを通じて、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
障害者雇用での就職
透析患者の方は、身体障害者手帳の取得により、障害者雇用枠での就職が可能になります。
障害者雇用のメリットは主に次のとおりです。
- 障害者雇用による採用チャンスの拡大
- 職場環境の配慮
- 就労支援サービスの利用
- 多様な職種での採用
- 理解ある職場環境
障害者雇用の場合、企業側の理解と配慮を得やすいため、長期的なキャリア形成を目指しやすいでしょう。
障害年金を受給するのも1つの手段!
経済的な不安から透析と仕事の両立を目指している場合、障害年金の受給を検討するのも1つの手段です。
障害年金は、病気やケガによって一定の障害状態になった方を経済的にサポートしてくれる公的年金制度です。
透析患者は原則障害年金2級に該当するため、受給要件を満たしていれば、障害年金の受給が可能です。
障害年金を受給すれば、経済的な負担を軽減できるため、無理してフルタイム勤務する必要をなくせるかもしれません。
人工透析で障害年金を受給するなら専門家の申請代行がおすすめ!
「申請する負担を軽減させたい」「自分の状態にあったベストな内容で受給申請したい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
相談時にしっかりとヒアリングをするため、相談者様の状況に最適な内容で受給申請することが可能です。
専門家に相談すれば、申請に必要な各種書類の作成を代行してくれる他、診断書内容を添削してくれるため、素人が申請するよりも受給確率を向上させられます。
また、医師との交渉ができないという場合は、申請者本人に代わって、医師に診断書作成を依頼してくれます。
障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
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透析治療と仕事を両立させるためのポイント
透析治療と仕事の両立は、就労するか悩んでいる患者さんにとって大きな課題です。
しかし、適切な方法と周囲のサポートがあれば、充実した職業生活を送れます。
ここでは、透析治療と仕事を両立させるための重要なポイントを解説します。
職場の理解と協力
透析治療を続けながら仕事をするには、職場の理解と協力が不可欠です。
まずは、上司や人事部門に自分の状況を正直に伝え、透析治療の必要性や、それに伴う時間的制約について説明し、必要な配慮を求めることが大切です。
理解を得られそうであれば、透析治療のスケジュールに合わせた勤務時間の調整や、在宅勤務の導入など、柔軟な働き方を提案してみるとよいでしょう。
職場の理解と協力を得られるか不安と感じる方は多いかもしれません。
しかし、昔と比べると従業員の健康管理に理解を示す企業が増えています。
体調管理に気をつける
透析患者さんにとって、体調管理は仕事を続ける上で最も重要な要素です。
規則正しい生活リズムを保ち、十分な睡眠と適切な食事管理を心がけましょう。
また、リラックス時間を確保してストレス管理に努めるとともに、定期的な検査と主治医との密な連携を通じて、自分の体調の変化に気を配ることも大切です。
産業医への相談
多くの企業では、従業員の健康管理をサポートする産業医が配置されています。
産業医とは、職場において労働者の健康管理などをおこなう医師です。
事業場で働く従業員の安全や健康を守るために、専門的な立場から指導・助言する役割を担っています。
透析治療を受けながら仕事を続ける上で、産業医は重要な相談相手となります。
産業医は職場環境にも精通している医療の専門家です。
定期的に産業医と面談し、体調や仕事の状況について相談すれば、あなたの状況に合わせた適切なアドバイスを提供してくれるため、より良い支援を受けられます。
両立しやすい透析方法の選択
一般的な透析治療は、週3回通院し、1回あたり4〜5時間の治療となる血液透析です。
しかし、透析治療には複数の方法があり、それぞれに特徴があります。
仕事との両立を考える上で、自分のライフスタイルに合った透析方法を選択することが重要です。
ここでは、仕事との両立がしやすい透析方法について解説します。
腹膜透析
腹膜透析とは、自宅や職場でおこなえる透析方法です。
腹部に挿入されたカテーテルを通じて透析液を注入し、数時間後に排液する方法で、1日に数回実施します。
この方法は、病院への通院頻度を減らせるため、仕事のスケジュールに合わせて柔軟に治療を受けられるのがメリットです。
夜間透析
夜間透析は、通常の就業時間後に透析治療を受ける方法です。
多くの場合、夕方から夜にかけて透析をおこなうため、日中の仕事に支障をきたすことなく、治療を受けられます。
オーバーナイト透析
オーバーナイト透析は、就寝中に透析治療を受ける方法です。
20時頃から翌朝6時頃まで、約8時間の長時間透析をおこないます。
この方法のメリットは、日中の時間を全て仕事や私生活に使える点です。
また、長時間の透析により、体への負担が軽減され、より良好な体調を維持できる可能性があります。
「透析しながら仕事」まとめ
適切な方法と周囲のサポートが得られれば、透析治療と仕事の両立は難しいものではありません。
しかし、無理に就業して体調が悪化したり、ストレスによってうつ病などを併発したりしては本末転倒です。
そのため、経済的な不安で無理に就業を検討している場合、障害年金の受給をおすすめします。
透析患者は原則障害年金2級に該当するため、受給要件さえ満たしていれば、受給が可能です。
障害年金を受給できれば、経済的な不安が軽減するため、無理のない範囲で仕事できる可能性を高められます。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!
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