高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害は、病気やケガによる脳の損傷により記憶や注意力、感情のコントロールなどに支障をきたす障害です。
外見からは分かりにくいことから「見えない障害」とも呼ばれています。
高次脳機能障害の原因
高次脳機能障害の原因は主に次のとおりです。
- 脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)
- 外傷性脳損傷(交通事故、転落事故など)
- 脳炎や低酸素脳症
- 脳腫瘍
これらの要因により、脳の特定の部位が損傷を受けることで高次脳機能障害が発生します。
高次脳機能障害の代表的な症状
高次脳機能障害にはさまざまな症状がありますが、代表的な症状は主に次の4つです。
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
ここでは、それぞれの症状について詳しく解説します。
ただし、高次脳機能障害を発症したからといって必ずこれらの症状が出るとは限りません。
出てくる症状や重篤度については個人差があるため、注意が必要です。
記憶障害
記憶障害とは、新しい情報を覚えることや、必要な時に思い出すことが困難になる障害です。
約束や締め切りを忘れたり、作業手順を覚えられなかったりするなどの症状が記憶障害に該当し、ミスの増加につながるリスクがあります。
注意障害
注意障害は、集中力の維持や複数の作業の同時進行が難しくなる障害です。
長時間の作業に集中できない、周囲の状況を考えられないなどの症状が記憶障害に該当し、作業効率が低下などを招きます。
遂行機能障害
遂行機能障害は、計画の立案・実行や、状況に応じた柔軟な対応が難しくなる障害です。
仕事の優先順位をつけられない、予定外の出来事に対応できないなどの症状が遂行機能将棋に該当します。
遂行機能障害を発症すると、業務の遂行に支障をきたすため、ストレスが増大する可能性が高まります。
社会的行動障害
社会的行動障害は、感情のコントロールや対人関係に困難を感じる障害です。
些細なことで怒りを爆発させる、自分中心でないと満足しないなどの症状が社会的行動障害に該当します。
これらの症状は、職場での人間関係に影響を与えるため、業務の円滑な遂行や良好な人間関係の構築の妨げになる可能性があります。
高次脳機能障害の方が職場で抱えやすいストレス
高次脳機能障害を抱える方は、職場でさまざまなストレスに直面する可能性が高いです。
ストレスの要因は主に次のとおりです。
- 記憶力や集中力の低下による業務効率の低下
- コミュニケーションの困難さによる人間関係の悪化
- 環境の変化への適応の難しさ
- 障害に対する周囲の理解不足
これらのストレスは、仕事のパフォーマンスだけでなく、精神的な健康にも大きな影響を与える可能性があります。
無駄なストレスをなくするためには、適切な対策と周囲の理解が重要です。
高次脳機能障害で配慮するポイント
高次脳機能障害を持つ方の雇用において、適切な配慮は非常に重要ですが、配慮のポイントは、面接時と採用後で異なります。
ここでは、それぞれの段階で必要な配慮について解説します。
面接時の配慮
面接は高次脳機能障害を持つ方にとって大きなストレスとなる可能性が高いです。
応募者本来の能力を適切に評価するためには、次のような配慮をおこなう必要があります。
- 就労支援機関のスタッフ同席を許可する
- 質問は簡潔で分かりやすい言葉を使う
- 面接時間を短めに設定し、必要に応じて休憩を挟む
- 事前に面接の流れや質問内容を伝える
- 筆記試験がある場合は、時間延長や別室での受験を検討する
上記はあくまでも一例ですが、これらの配慮により、応募者の障害特性を理解しつつ、適切な評価を下せるようになります。
採用後の配慮
採用後は、職場環境の調整と継続的なサポートが重要です。
次のような配慮をおこなうことで、高次脳機能障害を持っていても能力を発揮しやすい環境を整えられます。
- 指導担当者と相談役の役割を分担する
- スケジュール帳やメモリーノートの活用を推奨する
- 業務量を調整し、柔軟に対応できる体制を作る
- こまめな休憩時間の確保と段階的な勤務時間の延長
- 指示は短く簡潔に、マニュアルは視覚的に分かりやすく作成する
- 定期的な面談と日常的な声かけをおこなう
- 他の社員に障害特性や必要な配慮について説明する(本人の同意を得て)
あくまでも一例ですが、これらの配慮により、高次脳機能障害を持つ従業員の職場適応を支援し、長期的な就労継続につなげられます。
高次脳機能障害で働くのが難しいなら障害年金の検討を!
高次脳機能障害により、記憶力や集中力の低下、感情のコントロールの難しさなど、さまざまな症状が現れる可能性があります。
これらの症状により、職場でのストレスが増大し、働き続けることが困難になる場合が少なくありません。
経済的な不安により無理して働き続けなければならない場合、障害年金の受給検討も1つの選択肢となります。
障害年金は、障害によって生活や仕事に支障がある方を経済的に支援する公的な年金制度です。
高次脳機能障害と診断されているからといって必ず受給できるわけではありません。
しかし、高次脳機能障害によって日常生活や仕事に支障をきたしている場合、受給要件を満たしていれば障害年金を受給できる可能性があります。
高次脳機能障害で障害年金を受給するなら専門家の申請代行がおすすめ!
「障害年金の受給確率を少しでも高めたい」「申請する負担を軽減させたい」という方は、障害年金専門社会保険労務士に申請を代行してもらうのがおすすめです。
相談時にしっかりとヒアリングをするため、相談者様の状況に最適な内容で受給申請することが可能です。
専門家に相談すれば、申請に必要な各種書類の作成を代行してくれる他、診断書内容を添削してくれるため、素人が申請するよりも受給確率を向上させられます。
また、医師との交渉ができないという場合は、申請者本人に代わって、医師に診断書作成を依頼してくれます。
障害年金の等級や受給確率を少しでも高めたいのであれば、専門家に障害年金の申請を代行してもらうのがベストです。
障害年金の申請を自力で行うことは可能?自力で可能な場合と社労士に依頼した方がよい場合も解説!
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
「高次脳機能障害 職場ストレス」でよくある質問(Q&A)
「高次脳機能障害 職場ストレス」でよくある質問は次の5つです。
- 高次脳機能障害の症状は時間とともに改善しますか?
- 高次脳機能障害の方に向いている仕事はなんですか?
- 障害年金は自力申請できますか?
それぞれ詳しく解説します。
Q1. 高次脳機能障害の症状は時間とともに改善しますか?
高次脳機能障害の症状は、個人差が大きいものの、リハビリテーションや脳の回復により、改善する可能性があります。
ただし、完全に元の状態に戻ることは稀で、ある程度の障害が残ることも少なくありません。
しかし、継続的なリハビリと適切な環境調整により、症状の管理や生活の質の向上が期待できます。
Q2. 高次脳機能障害の方に向いている仕事はなんですか?
高次脳機能障害の方に向いている仕事の特徴としては、「作業手順が明確で変化が少ない仕事」や、「1度に複数の作業を求められない仕事」などが挙げられます。
詳細については下記の記事にまとめておりますので、気になる方はこちらもあわせてご確認ください。
Q3. 障害年金は自力申請できますか?
障害年金の自力申請は可能ですが、手続きが複雑で専門知識が必要なため、困難を感じる方も多いです。
特に高次脳機能障害の場合、症状の程度や日常生活への影響を適切に説明する必要があります。
そのため、受給の可能性を少しでも高めたいのであれば、専門家のサポートや申請代行の依頼をおすすめします。
障害年金の申請を自力で行うことは可能?自力で可能な場合と社労士に依頼した方がよい場合も解説!
障害年金の申請を自力で行うことは可能です。しかし、障害年金の申請は専門性が高いため、知識がない方がイチから申請しようとすると手間や労力がかかる他、受給確率が下がるリスクがあります。当記事では自力申請が難しい理由や自力申請した方がよい場合などについてみていきます。
「高次脳機能障害 職場ストレス」まとめ
高次脳機能障害を持つ方が職場で直面するストレスは、適切な理解と配慮によって軽減可能です。
しかし、どれだけ個々の症状や特性に応じてきめ細かな対応をしても、高次脳機能障害の症状によっては就労が難しい場合があります。
無理して就労するとストレスによってうつ病を併発するリスクを高めてしまうため、今までどおり働くのが難しいのであれば、障害年金の受給を検討するのも1つの手段です。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!