脳梗塞で障害年金は受給可能?
障害年金は障害認定基準をはじめとする要件さえ満たしていれば、どれだけ小さい障害であっても障害年金の申請が可能です。
当然、脳梗塞で障害が残った場合でも、その障害が障害認定基準を満たす状態であれば、障害年金を受給できる可能性は十分にあります。
脳梗塞の障害認定基準は後遺症の部位によって異なる
脳梗塞の障害認定基準は後遺症の部位によって異なるため、障害年金請求時には注意が必要です。
- 身体麻痺
- 高次脳機能障害
- 言語障害
- 平衡機能(バランス感覚など)障害
- その他の障害
ここでは後遺症別に障害認定基準について解説していきます。
身体麻痺
身体麻痺の場合は、障害認定基準「第7節 肢体の障害」が適用されます。認定基準の概要は次のとおりです。
障害の程度 障害の状態 1級 1. 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
2. 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの2級 1. 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
2. 四肢に機能障害を残すもの3級 上肢及び一下肢に機能障害を残すもの
肢体機能の障害のうち、麻痺している箇所が上肢のみの場合は「第1 上肢の障害」、下肢のみの場合は「第2 下肢の障害」、体幹・脊柱のみの場合は「第3 体幹・脊柱の機能の障害」で認定されます。
高次脳機能障害
高次脳機能障害の場合は、障害認定基準「第8節 精神の障害」の症状性を含む器質性精神障害が該当します。認定基準の概要は次のとおりです。
障害の程度 障害の状態 1級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの 2級 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの 3級 1.認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
2.認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの障害手当金 認知障害のため、労働が制限を受けるもの
言語障害
言語障害の場合は、障害認定基準「第6節 音声又は言語機能の障害」が該当します。認定基準の概要は次のとおりです。
障害の程度 障害の状態 2級 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの 3級 言語の機能に相当程度の障害を残すもの 障害手当金 言語の機能に障害を残すもの
平衡機能(バランス感覚など)障害
平衡機能(バランス感覚など)障害の場合は、障害認定基準「第4節 平衡機能の障害」が該当します。認定基準の概要は次のとおりです。
障害の程度 障害の状態 2級 平衡機能に著しい障害を有するもの 3級 神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 障害手当金 神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
その他の障害
脳梗塞による後遺症は他にも様々なものがあります。代表的な後遺症および、該当する障害認定基準は次のとおりです。
後遺症 | 該当する障害認定基準 |
---|---|
視野・視力障害 | 第1節 眼の障害 |
聴覚障害 | 第2節 聴覚の障害 |
咀嚼・嚥下機能障害 | 第5節 そしゃく・嚥下機能の障害 |
受給確率を上げたいなら自力申請よりも申請代行がおすすめ!
「後遺症が多いため、申請する際のポイントが分からない」「障害認定基準の概要がよく分からない」という場合、解釈の違いによって上手く申請できないリスクがあります。
受給確率を少しでも上げたいのならば、自力申請よりも障害年金の申請代行がおすすめです。
これまでの経験から、受給するためのポイントや、障害認定基準について理解しているため、自力で申請するよりも障害年金の受給確率を高められます。
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脳梗塞での障害年金受給事例
脳梗塞で障害年金を受給した事例は次のとおりです。
脳出血で意思疎通困難による全介助状態となり、障害厚生年金1級を受給
脳梗塞で右半身に麻痺が残り、障害厚生年金2級を受給
くも膜下出血で高次脳機能障害・言語障害が残り、障害厚生年金1級を受給
そのため、障害年金の申請数・受給数も多く、認定事例も豊富なことから、申請ポイントさえ押さえていれば、申請しやすく、受給しやすい傾向にあります。
障害年金 脳梗塞でよくある質問
「障害年金 脳梗塞」でよくある質問は次の3つです。
- 脳梗塞における障害認定日の取り扱いについて
- 65歳を過ぎて脳梗塞になった場合は障害年金受給できるの?
- 脳梗塞とは?
それぞれ詳しく解説します。
脳梗塞における障害認定日の取り扱いについて
障害年金は原則、初診日から1年6ヶ月経過(障害認定日)しないと、受給申請が行えません。
しかし、脳梗塞の障害認定日は「脳梗塞によって機能障害が残っている際、初診日から6ヶ月経過した日以降に医学的観点から、それ以上の機能回復が望めないと認めるとき」です。
つまり、脳梗塞による機能障害の場合、症状が固定されれば、初診日から最短6ヶ月で障害年金の受給申請が可能となります。
65歳を過ぎて脳梗塞になった場合は障害年金の受給はできるの?
脳梗塞が原因による障害で障害年金を受給できるのは原則、65歳までに発症した(初診日である)脳梗塞による障害です。
したがって、65歳を過ぎてはじめて脳梗塞を発症して後遺症が残った場合は、障害年金の受給は原則できません
脳梗塞とは?
脳梗塞とは、脳の血管が詰まることで、血流が止まり、脳の神経細胞が死んでしまう病気のことです。
脳の細胞は血流が突然止まってしまうと、数時間以内に完全に死んでしまいます。
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まとめ
脳梗塞で障害が残った場合でも障害年金の受給要件さえ満たしていれば、障害年金を受給できる可能性があります。
脳梗塞は患者数が多く、後遺症で悩まれている方が多いです。
そのため、申請数・受給数が多いことから、認定事例が豊富で受給しやすい傾向にあります。ただ、脳梗塞の後遺症は様々なものがあり、部位によって適用される障害認定基準が異なるため、申請する際は注意が必要です。
鳥海社会保険労務士事務所は、千葉県流山市を中心に高次脳機能障害に関わる障害年金申請代行業務を行っています。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!
参考文献
日本年金機構-第7節 肢体の障害「第4 肢体の機能の障害」
日本年金機構-第8節 精神の障害
日本年金機構-第6節 音声又は言語機能の障害
日本年金機構-第4節 平衡機能の障害
町田市民病院-脳梗塞