パーキンソン病で障害年金を受給できる可能性はあります。
ただし、パーキンソン病は服薬すれば症状を抑えられることが多いため、受給タイミングを間違えてしまうと、不支給になるリスクが高いです。
当記事では、パーキンソン病の概要や障害認定基準、申請するタイミング、受給事例について解説します。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病とは、40〜50歳以降に発症し、ゆっくりと進行する神経変性疾患です。まれに若い方でも発症する場合があり、40歳以下の方が発症すると、若年性パーキンソン病と呼ばれます。
大脳の下部にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少することで発症します。
ドパミン神経細胞内にaシヌクレインと呼ばれるタンパク質が凝集・蓄積することで、ドパミン神経細胞が減少すると考えられていますが、今のところはっきりとした理由は分かっていません。
また、パーキンソン病に遺伝性はありませんが、若い時に発症する方の一部では、家族内にパーキンソン病発症者がおり、遺伝が確認されています。
パーキンソン病の主な症状
パーキンソン病の症状は「運動症状」「精神症状」「自律神経症状」の3種類に分けられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
運動症状
- ふるえ(振戦)
- 転びやすい(姿勢保持障害)
- 筋固縮(筋強剛)
- 動作緩慢
- 身体が左右どちらかに傾くなど
姿勢保持障害は発症して数年から起こります。
発症してから2年以内に姿勢保持障害が見られる場合は「進行性核上性麻痺」といったパーキンソン症候群の可能性もあります。
精神症状
- 意欲・自発性の低下
- 不眠
- 認知問題
- 気分の落ち込みなど
自律神経症状
- 便秘・頻尿
- 多汗
- 手足のむくみ
- 唾液の過剰分泌(唾液が多くなる)
- インポテンツなど
人によっては身体の痛みを訴えることもあるようです。
パーキンソン病で障害年金の受給は可能か?
パーキンソン病も障害年金を受給できる可能性があります。ただし、パーキンソン病で障害年金の受給確率を上げるためには、申請するタイミングを見極めなければなりません。
障害状態であると認定されるためには、パーキンソン病の発症によって、どれだけ日常生活・仕事に支障をきたしているかによって判断されます。
したがって、申請する際はどれだけ日常生活・仕事に支障をきたしているのかを伝えることが重要です。
しかし、パーキンソン病は薬の服薬によって症状が軽減されることが多いため、薬の効果によって症状が緩和されているうちは障害状態であると認定されにくいといわれています。
そのため、長期間の服薬によって薬の効かなくなり、仕事・日常生活に支障をきたしているタイミングが障害年金の申請タイミングとなります。
パーキンソン病の障害年金認定基準
パーキンソン病は、障害認定基準の「第7節 肢体の障害」の「第4 肢体の機能の障害」で請求を行います。
「第4 肢体の機能の障害」における障害認定基準は以下のとおりです。
障害等級 障害の状態 1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの 2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 3級 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
日常動作程度
日常動作程度は障害等級決定を左右する重要な項目です。日常動作程度は次の4項目に分類されています。
- 手首機能
- 上肢機能
- 下肢機能
それぞれ詳しくみていきましょう。
手首機能
手首機能の日常動作程度は次のとおりです。
- つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
- 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
- タオルを絞る(水をきれる程度)
- ひもを結ぶ
上肢機能
上肢機能の日常動作程度は次のとおりです。
- さじで食事をする
- 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
- 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
- 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
- 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
- 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
下肢機能
下肢機能の日常動作程度は次のとおりです。
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
パーキンソン病の障害年金受給事例
ネット検索しても分かるとおり、パーキンソン病での障害年金受給事例は非常に多いです。
- パーキンソン病で障害基礎年金1級の取得
- パーキンソン病で障害基礎年金2級の取得
- パーキンソン病で障害厚生年金3級から2級へ等級UP
上記以外にも、多くの受給成功事例があるため、しっかりとした書類を作成し、障害年金の受給申請タイミングを間違えなければ、受給できる確率は非常に高いといえるでしょう。+
まとめ
パーキンソン病でも日常生活および仕事に支障が出ていれば、障害年金を受給できる可能性があります。
ただ、パーキンソン病の発症初期は服薬で症状を抑えることができるため、このタイミングで障害年金の申請をしても、障害認定されず、不支給になる可能性が高いです。
したがって、パーキンソン病で障害年金を受給する確率を高めたいのならば、長期間服薬した結果、薬が効かなくなっているタイミングで申請した方がよいでしょう。
書類作成に自信がない、医師とのやりとりが上手くいっていなくて悩んでいるのであれば、専門家の意見などを交えながら、一緒に障害年金の受給を目指しませんか?
障害年金の受給を検討されている方はお気軽にご相談ください!
参考文献
難病情報センター-パーキンソン病(指定難病6)
日本年金機構-国民年金・厚生年金保険 障害認定基準「第4 肢体の機能の障害」